◆SH2799◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第64回) 齋藤憲道(2019/09/30)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

2. トレーサビリティ(追跡可能性)の確保

(3) トレーサビリティシステムの導入促進

 2003年に農林水産省から「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」が公表された。その後、農林水産省は、中小零細企業での取組率の向上を図って各種の「食品トレーサビリティ『実践的なマニュアル』」を作成している。

 例 総論、取組手法編、各論(農業編、畜産業編、漁業編、製造・加工業編、卸売業編、小売業編、外食・中食業編)

 業界団体も、それぞれのトレーサビリティ導入ガイドラインを策定している。

 例(2004年~2006年) 青果物、外食産業、国産牛肉、鶏卵、貝類(カキ・ホタテ)、養殖魚、海苔

 それぞれの食品等事業者が「HACCPに沿った衛生管理」を適切に実行し、併せて、材料・製造・流通等の段階毎に各事業者が材料・製品・商品の管理に必要な、製品(又は、包装・梱包)単位に付与した番号(ロット番号)を追跡する仕組みを作ると、食品業界全体として精度の高いトレーサビリティを確保することができる。

 そのうえで、食品安全に係る適切なリスク情報を、必要とする者に迅速に伝達する仕組みを整備・充実することが望まれる。

 

3. 情報の取り扱い基準の共有

 経営管理は、企業の財産である人・金・物・情報を対象にして行う。

 企業の中には、次のように、至る所に情報(データの形が多い)があり、その多くが記録されている。

  1. ・ 購買は、物品授受、受入検査結果、受入数、工場への払出数、取引先動向等を記録する。
  2. ・ 工場は、作業員の作業、切削・加工・組立の実績、機械・検査装置の稼働、良品完成数等を記録する。
  3. ・ 開発・設計は、実験結果・発明、製品仕様の決定過程、設計図・仕様書等を記録する。
  4. ・ 営業は、顧客別販売実績、市場・取引先からのクレーム(返品を含む)、市場動向等を記録する。
  5. ・ 人事は、社員の採用・退職、出勤・欠勤、給与計算(天引きを含む)、人事考課等を記録する。
  6. ・ 経理は、現預金・債権・債務の出入・増減・残高、決算・原価計算等を記録する。

 これらの情報は企業の財産であり、これを経営に活かすことができれば、企業の活力は高まる。

 本項では、企業の経営情報について、(1)取得・利用のルール、(2)情報セキュリティ管理、(3)文書・情報の管理の水準、(4)社会への情報発信(経営情報、危険情報等)、の観点で考察する。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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