◆SH2794◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第63回) 齋藤憲道(2019/09/26)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

2. トレーサビリティ(追跡可能性)の確保

(2) トレーサビリティの確保を義務付けるその他の法律(例)

 食品・医薬品・自動車等の製品に安全問題が発生すると、消費者の生命・身体に直ちに大きな危険が迫ることから、問題発生後に迅速に危険排除措置を講じることができるように、法律でトレーサビリティの確保が義務付けられている。

 医薬品・自動車の製品承認・出荷・回収等については別項で紹介しているので、本項では食品関係の法律を取り上げる。

 

 ○ 食品安全基本法

 農林水産物の生産から食品の販売に至る一連の国内外の食品供給行程におけるあらゆる要素が、食品の安全性に影響を及ぼす可能性がある。このため、食品の安全性の確保は、行程の各段階で行われる。

 国・地方公共団体は、それぞれの立場で食品の安全性確保に関する施策を策定・実施する責務を果たすにあたって、関係行政機関と密接に連携することが求められる。

 なお、政府は、食品の安全性に関する緊急事態に対処する体制の整備その他の必要な措置を講じるための基本的事項を閣議決定しなければならない。

  1. 閣議決定「食品安全基本法第21条第1項に規定する基本的事項」の要点
  2. ― 食品健康影響評価において留意すべき要因を、食品供給行程(次の①②③)毎に示す。①農林水産物の生産段階(肥料、農薬、飼料、カドミウム、放射性物質等の要因)、②食品の製造・加工段階(原料、添加物、器具、容器包装、洗浄剤等の要因)、③食品の流通・販売段階(器具、容器包装、食品等の要因)
  3. ― 緊急事態への対処は、司令塔としての消費者庁が、食品安全委員会・厚生労働省・農林水産省・環境省他の行政機関と十分な連絡・連携を図りつつ、食品の生産から消費に至るまでのフードチェーンを通じ、重大被害発生の情報収集・状況把握を一元的に行う。リスク管理措置を講ずる行政機関は「緊急時対応マニュアル」を作成・公表して有事に備える。食品安全担当大臣は、緊急事態に際し政府全体の総合的対処が必要と認めるときは、関係大臣と協議して「緊急対策本部」を設置する。

 食品関連事業者は、自らが食品の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識し、食品の安全性確保に必要な措置を食品供給行程の各段階において適切に講ずる責務を有するとともに、事業活動に係る食品等に関する正確・適切な情報の提供に努めなければならない。

  1. (筆者の見方) 食品の安全は「農場から食卓まで」のフードチェーン全体を通してはじめて確保される。このため国では、農林水産省・消費者庁等の関係省庁が連携して食品の安全性確保と緊急事態対応に取り組んでいる。企業は、事業の当事者として、国と同等以上の管理水準で、川上(土壌・肥料・飼料等)から川下(消費者)までを捕捉するサプライチェーンマネジメントを実践したい。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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