◆SH2786◆中国における司法のIT化 第4回「インターネット裁判所(4)」 川合正倫(2019/09/20)

中国における司法のIT化

第4回 インターネット裁判所(4)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

 

5 インターネット裁判所の問題点

(1) 管轄の限界

 インターネット裁判所がインターネットをめぐるすべての紛争、特に複雑な案件を処理することまでは想定されておらず、法定管轄権は本規定に定める11類型(前々稿参照)に限定されている。さらに、本規定に定める11類型の案件に関しても、インターネット裁判所と地方裁判所の管轄競合が生じ、管轄権に係わる争いが多いとされている。

(2) 環境構築

 インターネット裁判所は、すべてのプロセスをオンライン上で行うことを原則としているため、裁判所のみならず、当事者のインターネット環境に依存している。地域によっては、当事者のインターネット環境が整備されておらず、特に開廷中に映像や音声の遅延、突然の遮断等の技術上の問題が生じうる。

 これらの問題を解決するための改善策も講じられている。当事者がいつでも、どこでも手元から簡単にアクセスできるよう、各インターネット裁判所は訴訟PFのサイト版だけではなく、Wechat上のミニプログラム等を通じたアクセスも提供している。

 また、インターネット環境改善のため、新たな試みとして、広州インターネット裁判所は、2019年3月1日に初めて5G技術をオンライン開廷に導入した。今後、5G技術の普及により、ネット速度等技術上の問題の改善が期待される。

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(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

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