◆SH2717◆公取委、コンビ株式会社に対する排除措置命令 森 駿介(2019/08/08)
公取委、コンビ株式会社に対する排除措置命令
岩田合同法律事務所
弁護士 森 駿 介
1. はじめに
公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、育児用品販売業等を営むコンビ株式会社(以下「コンビ」という。)に対し、令和元年7月24日、独占禁止法19条(同法2条9項4号〔再販売価格の拘束〕)違反を理由として、同法に基づき排除措置命令を行った。本稿では、再販売価格の拘束の規制趣旨、コンビの違反行為の概要等に加えて、再販売価格の拘束に係る近時の法執行状況等を解説・紹介する。
2. 再販売価格の拘束の規制趣旨
メーカー等が小売業者等に対して商品を販売するに当たって、メーカー等が指定した価格で販売しない小売業者等に対して、卸価格を高くしたり、出荷を停止したりして、小売業者等に指定した価格を守らせることは、「再販売価格の拘束」として禁止されている(独占禁止法19条、2条9項4号)。
メーカー等が安売りをしている販売店に商品を卸すことをやめてしまうと、その商品はどこの販売店でもメーカー等が指定した価格で売られることになるが、それでは消費者は、価格によって販売店を選べなくなるばかりか、本来ならば安く買えたはずの商品を高く買わなければならなくなりメリットを奪われることになるため、再販売価格の拘束は禁止されている(公取委ウェブサイト《https://www.jftc.go.jp/ippan/part2/act_05.html》)。
(もり・しゅんすけ)
岩田合同法律事務所弁護士。2008年一橋大学法学部卒業。2010年一橋大学法科大学院修了。2011年弁護士登録。取扱分野は、訴訟、コーポレート及び不正調査を中心とした企業法務。『コーポレート・ガバナンスの法律相談』(共著)(青林書院、2016年10月)等著作多数。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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