◆SH2689◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第49回) 齋藤憲道(2019/07/25)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

第2部 間接部門(スタッフ)の経営管理

 企業が保有する人・金・物・情報等の資産は、直接業務(商品企画から販売代金回収までの一連のライン業務)のプロセスを経て手元資金になり、これを元手にして、次の段階の事業が展開される。このプロセスを効果的かつ合法的に運営するために、間接部門(スタッフ部門)が管理業務を行っている。

 資産と主な間接業務の係わりを次に示す。

  1. ⑴ (ヒト)は、人事・勤労・労政等の部門が担当する。
  2.   採用・配属・異動・退職の手続、労働協約・就業規則の制定・運用、給与・賞与の決定・支給、出勤管理・人事考課、労働組合対応等の業務がある。
     
  3. ⑵ (カネ)は、経理・会計・財務等の部門が担当する。
  4.   現金出納・資金繰り・決算書類作成・原価管理・税務・資金調達等の業務がある。多くの企業で、決算・納税・資金繰り等の会計・税務知識を持つこの部門が短期経営計画や社内決裁手続きを主管・総括している。
     
  5. ⑶ 土地・建物等の不動産や、電気・ガス・上下水道等の事業インフラは、管財部門が維持・管理する。
     
  6. ⑷ 棚卸資産(商品・製品、原材料等)・機械装置・車両運搬具・工具器具備品等の動産は、基本的に、それを使用・保管する部署が管理する。
     
  7. ⑸ 会社の重要事項を決める株主総会・取締役会の運営は法律(会社法・金融商品取引法等)の定めに従うことが多いので、その専門家(法務部門、弁護士)が事務局に加わる例が多い。
     
  8. ⑹ 企業経営において、特許権・著作権・営業秘密等の知的財産は、経営上の強力な武器として評価されている。その管理は、概ね次のように行われる。
    1. ○ 特許権・商標権等は、出願・登録等の手続きを伴うので、知財部門が主管する例が多い。
    2. ○ 著作権は、著作物を創作又は使用する部門と法務部門(契約担当)が連携して管理する例が多い。
    3. ○ 営業秘密(特に、技術情報)は、技術部門と情報システム部門が連携して管理する例が多い。
    4. (注) 高収益のグローバル企業が「知的財産」を手段として低税率国に利益を移転して蓄積することに対して、多くの国がBEPS対策を始めている。これに対応するには、グローバルにグループ企業間の業務分担や組織編成のあり方を検討することになるので、取締役会レベルの審議が必要である。
       
  9. ⑺ 設計・生産・販売・流通・人事・経理等の業務に係る情報の処理は、コンピュータ・パソコンとそのネットワークを管理する情報システム部門(コンピュータ・システムを管理する部門)が担当する企業が多い。
  10.   なお、⑺については、関係する箇所で言及するので、本項での記述は省略する。 

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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