◆SH2666◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(178)コンプライアンス経営のまとめ⑪ 岩倉秀雄(2019/07/16)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(178)

―コンプライアンス経営のまとめ⑪―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、全酪連牛乳不正表示事件の発生原因についてまとめた。

  1. ① 全酪連では、農協を通じて酪農生産資材を供給し安定的に利益を上げている購買部門と生乳を処理・加工し生協・スーパー等を通じて消費者に販売する赤字基調の乳業部門が互いに競ってきた。(BtoBとBtoCの対立)
  2. ② 事件発覚当時の乳業部門は、商品開発・ブランド再構築の成功により売上・利益が拡大、長岡、宮城に新工場を連続して建設し、新工場に早期黒字化の圧力があった。
  3. ③ 市場では、無調整牛乳(農協系中心)と調整牛乳(メーカー中心)が販売されており、両者を混入しても解らず健康被害も発生しないので、表示違反への罪悪感が少なかった。
  4. ④ 事件発覚当時、全酪連は地域定住希望者を対象とした労働派遣会社を設立、労働派遣会社に移籍した者の間に格差への不満と身分への不安が渦巻いていた。
  5. ⑤ 乳業工場の品質管理部門は工場長の指示命令下にあり、製造の責任者に対する牽制が働きにくい体制になっていた。
  6. ⑥ 全酪連の理念と行動規範が不明確で、酪農・乳業界中心の内向きで閉鎖的組織文化が形成されていた。(出資者、酪農生産資材の販売先、生乳の仕入先が全て農協) 

 今回は組織風土改革運動を総括し改善点をまとめる。

 

【コンプライアンス経営のまとめ一⑪:組織風土改革運動実践からの教訓③】

 「チャレンジ『新生・全酪』運動」は、①「酪農民と消費者を裏切った」ことを反省し、あるべき組織文化を確認し再構築する、②これまでの「酪農民の心を心として」という大坪前会長(カリスマ)の信条をふまえつつも、より明確な理念と行動規範を作成し、専門農協としてのスタンスを確立する、③そのためには、新たな組織理念と行動規範を作成し、組織文化改革運動によって全従業員に浸透させることが信頼回復につながるとともに、これからの全酪連の発展の礎になる、との考えのもとに実施した。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。




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