◆SH2653◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(176)コンプライアンス経営のまとめ⑨ 岩倉秀雄(2019/07/09)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(176)

―コンプライアンス経営のまとめ⑨―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、従業員相談窓口の留意点について経験を踏まえてまとめた。

 公益通報者保護法の改正もあり、一定規模の組織であれば、組織内・外に相談窓口を設置し、通報者・調査協力者の秘密保持と不利益扱いの禁止、役職員の調査協力義務等を定めた規定を設け、活用のPRにも努めている。

 しかし、従業員相談窓口は、仕組みを作れば機能するというわけではない。

 従業員相談窓口を有効に機能させるためには、役員(できるだけ上位が望ましい)・部門に、責任感・誠実性・情熱のある人材を選任し、問題発生時には役員と担当部門が密接に連携して直ちに対応し解決を図る必要がある。

 また、子会社は、自ら及び親会社と共通の相談窓口を設け、相談内容を定期的に親会社に報告するとともに、問題の重要性、専門性、緊急性を踏まえ、親会社と連携して迅速に問題解決を図る必要がある。

 従業員相談窓口の対応は、相談を真摯に受け止め門前払いの姿勢を示さない、事実関係の把握に努めメモを取る、従業員相談窓口の仕組みを十分に説明し相談者の理解を得る、調査には必要最小限の他の協力を得る必要があるので、秘密保持の範囲を相談者と合意しておく、調査の進捗具合を頻繁に連絡して相談者の不安を減らす等、が重要になる。

 今回から、筆者の組織風土改革運動実践の経験と教訓についてまとめる。

 

【コンプライアンス経営のまとめ⑨:組織風土改革運動実践からの教訓①】

 既述したが、筆者は、かつて所属した全国酪農業協同組合連合会(略称 全酪連)が、牛乳不正表示事件の発覚で組織が存続の危機に陥った際に信頼回復と組織本来の在り方を全員で確認し前に進むために自発的に組織風土改革運動を提案し事務局長として推進した。

 本稿では、シャインをベースに組織論に基づき組織革新に関する様々な考察を行ったが、筆者のベースには、実際に行った組織風土改革運動の成功と失敗の実践経験がある。

続きはこちらから

バックナンバーはこちらから

 

(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。