◆SH2642◆中国:ネットワーク安全審査弁法(意見募集案)(上) 川合正倫(2019/07/02)

中国:ネットワーク安全審査弁法(意見募集案)(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 川 合 正 倫

 

 2019年5月24日、国家インターネット情報弁公室は「ネットワーク安全審査弁法(意見募集案)」(以下「本弁法」という。)を公布し、同年6月24日までの意見募集を開始した。本弁法は、2017年6月1日より施行されている「ネットワーク製品・サービス安全審査弁法(試行)」(以下「2017年弁法」という。)を代替することになる。本弁法は、2017年弁法と比べて、ネットワーク安全審査制度についてより全面的・明確に規定するだけでなく、その内容も安全審査の対象、方針、主管部門、発動要件、評価要素、手続等の多方面にわたる。本稿では、本弁法の主な内容を紹介することとする。

 なお、本稿は長島・大野・常松法律事務所の柳陽中国弁護士の協力のもとに作成している。

 

1. 安全審査の対象

 中国では、一部の企業や機関が技術上の優位性等を利用して中国国内において無断で情報を収集したり、中国の政府部門や国内企業、大学等のネットワークに無断で侵入したりする等のリスクを防ぐため、重要情報インフラ運営者は、国家安全と公共利益にかかわるようなネットワーク製品・サービスを調達する際に、安全審査を行うこと義務を負っている(ネットワーク安全法第35条)。

 本弁法第2条は、ネットワーク安全法第35条の規定を踏襲し、ネットワーク安全審査が必要となる状況を「重要情報インフラ運営者がネットワーク製品・サービスを仕入れ、国家の安全に影響を与える、又は影響を与えるおそれがあるもの」と規定し、ネットワーク安全審査の実施義務を負う者が重要情報インフラ運営者に限定されることを確認している。また、本弁法第18条では、重要情報インフラ運営者(以下単に「運営者」という。)の範囲について、重要情報インフラ保護業務部門によって認定された事業者を指すと明確化している。2017年弁法と比較して、ネットワーク安全審査が必要となる状況が明示された点、また、重要情報インフラ運営者の範囲が限定された点において本弁法の施行により安全審査が無制限に拡大する懸念を一定程度払拭できると考えられる。しかしながら、ネットワーク安全審査の対象については、本弁法においても、「法律、行政法規に他の規定がある場合は、その規定に従う」と規定されており、他の法律、行政法規でもネットワーク安全審査の対象が追加される可能性がある点に留意が必要である。

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(かわい・まさのり)

長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。

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