◆SH2620◆租税における公平の実現(12) 饗庭靖之(2019/06/21)

租税における公平の実現

第12回

首都大学東京法科大学院教授・弁護士

饗 庭 靖 之

 

第4 地方税における租税公平主義

4 法人住民税と法人事業税における応益負担と応能負担について

(1) 応益負担の説明の限界

 大都市圏の地方団体は受益と負担の一致を主張しているが、この主張は、租税を応益負担で説明する利益説に基づいているが、この主張には、大都市圏の法人と住民は高い金額の納税負担をしているから、高い行政サービスが受けられるというニュアンスを含んでいる。

 応能負担に基づき、地方税の主要税項目である法人住民税と法人事業税の課税においては、税負担が担税力に応じて法人間で公平に配分されている中で、法人住民税と法人事業税の課税根拠として、応益負担と応能負担として考えてよいのかということが問題となる。

 利益説は、租税は市民が国家等の公共団体から受ける利益の対価であるから、受けるサービスに対応して賦課されるべきだとするが、租税を応益負担で説明する利益説は、「各人が国家から受けるサービスを測定しそれを計量化することは、殆ど不可能に近いから、利益説が税負担の配分に関する基準の設定という点で致命的な難点をもっていることは明らかである」。

 仮に測定計量化しえたとしても、法人住民税と法人事業税の課税根拠を応益負担だけで説明すると、法人住民税と法人事業税を受け取る行政団体が行政サービスを実施する費用は、行政サービスの受益度に応じて事業者に税の負担が割り振られることになる。その場合、行政が非効率なため、受益者の受益の額を超えて行政費用がかかる場合を生じうるが、このとき、受益した限度を超えて課税する必要を生じるが、これが認められるのか問題となる。

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(あえば・やすゆき)

1956年東京生まれ。1975年東京教育大学付属駒場高校卒業・東京大学法学部入学、1979年農林水産省入省、1988年厚生省出向、1991年在加日本大使館出向、1996年農林水産省退官・司法研修所入所(第50期)。1998年光和総合法律事務所入所、2013年末退所。
2005年首都大学東京法科大学院教授(民法、倒産法、環境法等担当)、現在に至る。
2014年1月、首都東京法律事務所を設立。現在首都東京法律事務所代表。

論文:
「生命保険における資産運用成果の契約者への還元について」NBL1110号(2017)、No1112(2017)、「社会保険制度についての提言」法学会雑誌(首都大学東京都市教養学部法学系発行)第58巻第2号(2018)




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