◆SH2600◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第38回) 齋藤憲道(2019/06/13)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

第3章 現場の「経営管理システム」とその運用
          企業規範の第3層と第4層を整備する 

 本章では、直接部門の業務、間接部門の業務、及び、直接と間接の複数の部門が連携し一体となって運営される業務について、それぞれの主な管理項目を列挙し、「高い生産性」と「高い自己浄化能力」を共に実現する経営管理の要点を考察する。

  1. (注) 企業は、内部統制、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス確保等の仕組みを整備して、それを公表することが求められている。これらは、企業経営の「管理の切り口」を表すものであり、その中身は各企業が自ら設計して導入・運用しなければならない。本章で、その中身を考察するので、これをヒントにして、各企業で自社に最適の管理のあり方を追求して頂きたい。

 

第1部 直接部門(ライン)の経営管理

 一般に、商品の仕様決定・製造・販売(サービス提供を含む)の業務を直接担当する部門を総称して直接部門(又はライン部門)という。

 本項では、メーカーの直接業務の4つの機能、即ち、(1)商品企画・開発・設計、(2)生産・調達、(3)販売・流通・クレーム対応・事故対応、(4)代金回収について、それぞれの主な管理項目を列挙する。

 直接部門の業務の多くは、コンピュータ・システムで管理されている。この業務の生産性を高水準に保つには、常に、業界トップ水準の業務システム(他業種を含む)を調査し、その中から自社に有用なシステムを見出して、自社のシステムを絶えずそれ以上の水準に改善していく必要がある。

 また、企業の法令遵守は、違反行為が発生する現場で法令違反を確実かつ迅速に取り除くことが重要であり、業務遂行の過程でこれを実現する仕組みを構築することが望ましい。

 

1. 商品企画・開発・設計

 商品企画・開発・設計の段階では、ターゲットにする客層に受け入れられる商品コンセプトを作り、基本機能を定めて仕様を決める。この段階で、商品の機能と安全の水準は、ほぼ決まる。

 商品の仕様は、具体的には次の①②のプロセスを経て決める。

  1. ① 商品が使用される国・地域の最新の法令・基準・規格等および業界の事故・トラブル事例、裁判例、自社の経験等を考慮して、それらの要求を満たす「社内基準」を設定し、これを守る。
  2. 例1 メーカーの開発・設計規程の主な項目(例)
    開発体制、開発重要度(等級)、職位と責任・権限、開発・設計プロセス(開発計画・試作設計・量産設計・試作・初回生産・発売)、新製品情報を登録(工場・営業等と共有)、外部との契約(開発委託、共同開発、デザイン委託、試作委託、計測委託等)、商品の標準使用期間の設定、保証書の作成、製品への表示、量産試作、デザインレビュー(設計審査)他
  3. 例2 社内基準・規格(完成品、部品、材料、ソフトウェア、実験方法、検査方法、計測方法等)
     公的な基準・規格を最低限の水準として、できるだけそれより厳しい社内の基準・規格を定める。
    (注) 社内規格には製品安全に関する重点管理事項が記載される。このため、これを営業秘密として管理する企業もある。
     
  4. ② 個々の商品毎に、次のa)~d)の順に検討して、決める。
  5.   a) 用途・作動範囲・寿命等を決定する。
    b) 発生する危険を洗い出す。
    c) 危害の大きさと発生確率(発生可能性の大小)からリスクの大きさを予想する。
    d) リスク低減策を付加する。(リスクを十分に低減できない場合は、a) に戻る)

 商品企画・開発・設計部門の主な管理項目を次に示す。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)




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