◆SH2587◆経産省、「さらなる対話型株主総会プロセスに向けた中長期課題に関する勉強会とりまとめ(案)」の意見募集 角野 秀(2019/06/06)
経産省、「さらなる対話型株主総会プロセスに向けた中長期課題に関する勉強会とりまとめ(案)」についての意見・情報提供を募集
岩田合同法律事務所
弁護士 角 野 秀
経済産業省は、本年5月22日、「さらなる対話型株主総会プロセスに向けた中長期課題に関する勉強会とりまとめ(案)」(以下「本とりまとめ案」という。)を公表し、本とりまとめ案への意見・情報提供の募集を開始した。
1. 背景
経済産業省では、企業と投資家・株主との企業価値向上に向けた建設的な対話を促進することを目的として、株主総会について、スケジュールの見直しや情報開示のあり方の検討が進められてきた。
本とりまとめ案は、その流れを受けて平成30年9月に立ち上げられた、「さらなる対話型株主総会プロセスに向けた中長期課題に関する勉強会」において検討された、今後より一層対話型株主総会プロセスを志向していく上での中長期的な課題や、株主総会当日のあるべき姿について取り纏められたものである。特に、検討の題材として「ハイブリッド型バーチャル株主総会」を取り上げ、その法的・実務的論点整理を行った点が注目される。
以下、本とりまとめ案の概要を紹介する。
2. 本とりまとめ案の概要
(1) 検討のスコープ
現在の一般的な株主総会は、物理的に存在する会場に取締役や監査役等と株主が一堂に会する形態で行われている(リアル株主総会)ところ、株主総会にIT等を活用して遠隔地から参加する方法として、①リアル株主総会を開催する一方で、当該リアル株主総会の場に所在しない株主についても、インターネット等の手段を用いて遠隔地からこれに参加することを許容する形態(ハイブリッド型バーチャル株主総会)のほか、②リアル株主総会を開催せず、取締役や監査役等と株主が全てインターネット等の手段を用いて株主総会に出席する形態(バーチャルオンリー型株主総会)が考えられる。
本とりまとめ案では、主に上場会社をはじめとする、株主が地理的広範に分散している株主総会を念頭に、株主総会へのIT活用の第一歩として、ハイブリッド型バーチャル株主総会における法的・実務的論点を検討対象としている。
また、ハイブリッド型バーチャル株主総会の類型としては、リアル株主総会に出席できない株主がインターネット等の手段を用いて株主総会に出席する形態(出席型)と、出席せずに傍聴のみをする形態(参加型)に分類できる。本とりまとめ案では、主として出席型のハイブリッド型バーチャル株主総会について検討を行っている。
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(かくの・しゅう)
岩田合同法律事務所所属。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2009年弁護士登録。2017年ロンドン大学ロースクール修了(LL.M.)。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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