◆SH2559◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第33回) 齋藤憲道(2019/05/27)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

3.「製品規格」の仕組みが業法・有害物質規制・表示規制等の遵守に有効

例6 食品・飲食店営業(食品衛生法)

• 食品の安全性の確保のために、公衆衛生の見地から必要な規制・措置を行い、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、国民の健康の保護を図ることを目的として、食品衛生法は、基本的に次のように定めている。

(以下、本項の条数は2018年6月13日に公布された改正食品衛生法による)

 これを見ると、安全のための公的な基準・規格(以下の2.2~2.5)を定めるとともに、HACCPやリコール制度等のマネジメントの仕組みを求めており、「製品規格」の要素を備えていることが分かる。

〔食品衛生法の概要〕

  1. 1. 食品等事業者の努力義務(3条1項~3項)
    1. 1) 自らの責任で安全性を確保するため、知識・技術の習得、原材料の安全性確保、自主検査の実施等。
    2. 2) 危害の発生防止に必要な範囲で、販売食品等・原材料を販売した者の名称等の記録を作成・保存。
    3. 3) 食品衛生上の危害発生の防止のため、上記2)の記録を国・都道府県等に提供、危害原因となった販売食品の廃棄等の迅速・適確な措置。
       
  2. 2. 販売用の食品、添加物、器具、容器包装等の取扱の原則
    1. 1) 販売用の食品・添加物の採取・製造・調理・貯蔵・運搬等は、清潔で衛生的に行うこと。(5条)
    2. 2) 次の食品・添加物は、販売等するために採取・製造・輸入・加工・調理・貯蔵等してはならない。(6条)
    3. ・ 腐敗、変敗、未熟のもの。ただし、一般に人の健康を損なわず飲食に適すると認められているものは除く。
    4. ・ 有毒、有害な物質を含有・付着(又はその疑い)したもの。ただし、厚生労働大臣が定めるものを除く。
    5. ・ 病原微生物による汚染(又はその疑い)があり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
    6. ・ 不潔、異物混入(又は添加)等により、人の健康を損なうおそれがあるもの。
    7. 3) 厚生労働大臣は、販売用の食品・添加物を規制し、製造等の基準や成分規格を定めることができる。
    8. 基準違反の製造・加工・販売等、規格不適合の食品等の製造・輸入・加工・販売等は、禁止される。
    9. ・ 同大臣は、新開発食品の危害発生防止のため食品としての販売を禁止できる。(7条)
    10. ・ 同大臣が未承認の添加物(これを含む製剤・食品を含む)は、販売用等の製造・輸入等を禁じる。(12条)
    11. ・ 同大臣が定める基準・規格に合わない食品・添加物は、販売等してはならない。(13条)
    12. 4) 厚生労働大臣・内閣総理大臣は「食品添加物公定書」を作成し、添加物の基準・規格を収載する。(21条)
    13. 5) 規格が定められた食品・添加物・器具・容器包装は、政令の区分に従って厚生労働大臣等の検査を受け、厚生労働省令による合格表示を付さなければ、販売や営業上の使用をしてはならない。(25条)
    14. (注) 食品健康影響評価(リスク評価)
      日本では内閣府食品安全委員会が独立して、中立公正な立場で科学的に行う。この結果に基づいて、厚生労働省・農林水産省・消費者庁等の行政機関が必要なリスク管理を行う。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 




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