◆SH2546◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(164)日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス㊱ 岩倉秀雄(2019/05/21)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(164)

―日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス㊱―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、危機対応チームの役割について述べた。

 危機の対応に当たっては、短時間に大量の仕事を効率的にこなすために、機能別対応チームを組織し、役割を明確にするとともにふさわしい人材を配置しなければならない。

 今回は、危機対応時のその他の重要な留意事項について考察する。

 

【日本ミルクコミュニィティ(株)のコンプライアンス㊱:組織の危機管理⑧】

 危機発生時には、記者会見、ステークホルダー対応、インナー対応等、重要な事柄を短時間に同時に実施しなければならない。

 本稿では、それらの留意点について後藤[1]と筆者の経験を基に考察する。 

 

1. 記者会見

 記者会見は社長やこれに準ずる人をスポークスマンに決め、関連部門の責任者も同席して詳細な説明ができるようにする。

 会見は、メディアの要請がある場合には早期に開く必要があるが、自ら開く場合には記事が掲載される時期を想定したタイミングを選ぶことができる。

 発表はできるだけ文書と資料を添付し、自社で行う方が記者クラブに所属していない記者も入ることができ、準備もしやすい。

 スポークスマンは、「感情的にならない」、「わからないことはわからないとし憶測や希望的観測は言わない」、「責任逃れの発言はしない」、「事態を過小評価せず企業として事態を重視している姿勢を示す」、「ノーコメントやオフレコは言わない」、「会見前に想定問答を準備しメディアトレーニングをしておく」、「行政(警察)のかかわる問題はその結果を第一とした対応を行う」等に留意する。 

 また、メディアの関心は、「何が、なぜ発生したのか」、「事態の経過と現状」、「これからどうするか」、「事態の組織の受け止め方」、「誰が関与して今どうしているか」、「過去の類似のケース」等にあるので、これに対応できるように準備する。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。