◆SH2545◆法務担当者のための『働き方改革』の解説(33) 海野圭一朗(2019/05/20)

法務担当者のための『働き方改革』の解説(33)

テレワーク(2)

TMI総合法律事務所

弁護士 海 野 圭一朗

 

XVIII テレワーク

3 テレワーク導入に伴う法的諸課題

 前述のとおり、テレワークであっても労働関係法令を遵守する必要があるが、法務の観点では、とりわけ労働時間制度、及び、情報漏洩対策について留意を要する。

 また、で挙げたような各種リスクを低減させ、これに伴うトラブル等をできる限り未然に防止する観点からも、テレワーク制度の内容につき具体的にルールを策定・周知し、運用すべきである。

 そこで、以下、テレワークにおける労働時間制度、情報漏洩対策について述べた上で、就業規則等において定めるべき事項につき概観する。

(1) 労働時間制度との関係

 ア 労働時間の把握義務

 上述のとおり、テレワーク対象者にも労働基準法の適用があることから、企業は、同法に基づいて実際の労働時間を適正・適切に把握・管理しなければならないこととなる。

 そのため、テレワーク対象者の実際の始業・終業時刻を上長等が自ら現認することは難しいとしても、パソコンの使用時間等の客観的な記録を基礎として確認・記録することとし、やむを得ず自己申告制による場合も、必要に応じて実態調査を実施するなど、ガイドライン[1]に従った運用が必要となる。

 この点、テレワークでは、とりわけ「中抜け時間」の取扱いが問題となるが、この「中抜け時間」を不就労時間として取り扱うには、都度「中抜け時間」の開始・終了時刻を報告させるなどにより適切に把握できるようにする必要があるほか、さらに、これを休憩あるいは時間単位の有給休暇として取り扱うのか、それとも始業・終業時刻の変更として取り扱うのかについても、予め決めておく必要がある。

 なお、上記ガイドライン等からすると、残業事前許可制を採っていたとしても、無断残業(無断労働)について使用者の労働時間把握義務や賃金支払義務が直ちに免除されるわけではないと考えるべきであり、そのような免除が認められるのは、明示的な禁止命令に反して労働した場合や、事前許可制が厳格に運用されていたと評価できる場合等に限られるであろう。

続きはこちらから

バックナンバーはこちらから

 

(うみの・けいいちろう)

TMI総合法律事務所 アソシエイト弁護士

2006年東京大学法科大学院修了。2007年弁護士登録。2010年から2011年まで経済産業省知的財産政策室に出向。労働関係、不正競争防止法関係を中心に取り扱う。(共著)『Q&A営業秘密をめぐる実務論点』(中央経済社、2016)、(共著)『M&Aを成功に導く知的財産デューデリジェンスの実務〈第3版〉』(中央経済社、2016)など。

TMI総合法律事務所 http://www.tmi.gr.jp/

TMI総合法律事務所は、新しい時代が要請する総合的なプロフェッショナルサービスへの需要に応えることを目的として、1990年10月1日に設立され、設立以来、企業法務、知的財産、ファイナンス、労務・倒産・紛争処理を中心に、専門化と総合化をさらに進め、2018年7月1日現在、弁護士395名、弁理士80名の規模を有し、クライアントの皆さまとの信頼関係を重視し、最高レベルのリーガルサービスを提供できるよう努めております。

  1.   働き方改革サポートデスク
  2.   TMI総合法律事務所では、働き方改革に関するクライアントニーズに応えるため、人事労務に精通している弁護士約20名による専門組織「働き方改革サポートデスク」を立ち上げ、法律事務所としてのリーガル支援に加え、人事コンサルティング、社会保険労務士の協力も得ながら、働き方改革に対応した人事制度構築に至るまでのワンストップ支援を提供します。なお、働き方改革に関するご相談は、「働き方改革サポートデスク」専用アドレス(hatarakikata@tmi.gr.jp)にご連絡ください(詳細はhttp://www.tmi.gr.jp/topic/2018/6-6.html)。