◆SH2510◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(159)日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス㉛ 岩倉秀雄(2019/04/26)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(159)

―日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス㉛―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、危機管理に関する筆者の問題認識と考察の視点、リスク管理と危機管理の定義と関係について述べた。

 経営者がコンプライアンスの定着を目指して真摯に取り組み、経営戦略上の意思決定を適正に行ったとしても、事件や事故の発生可能性をゼロにすることはできない。

 コンプライアンスの研究は、本来そのようなことが、発生しないようにするためにどうするべきかについて研究するものであるが、「万が一に備えて準備しておく」ことも、社会の安定と組織の持続的発展の視点から重要である。

 筆者の(全酪連牛乳不正表示事件発生時の)経験では、危機への備えのない組織は、いったん危機が発生すると大混乱に陥り、平時では想像もつかないほどの支障を来し、時にはパニックにさえ陥る。

 自然災害や事故等、危機にも様々のケースがあるが、本稿では、組織が自らの責任で法令違反等の不祥事を発生させた場合にどう対応するべきかについて考察の対象とする。

 本稿では、「リスク」を「経営にマイナスの結果を引き起こす要因やその影響」とし、危機(クライシス)を「組織の存続を脅かすほど大きな経営上のマイナス要因やその影響」とし、「リスク管理」を「リスクの発生可能性やその影響を一定以下に保ち、場合によってはあえてリスクを保有しつつ、万一それが発生した場合にはただちに対応できるように管理下におくこと」とし、「危機管理」を「危機の発生を予防し、万一危機が発生した場合にはその影響を最小に抑え早期にダメージから回復し、危機の処理過程を通じて学習した内容を以後の経営管理に役立てる一連のプロセス」とする。

 今回は、危機の予防について考察する。

 

【日本ミルクコミュニィティ(株)のコンプライアンス㉛:組織の危機管理③】

1. 予防についての基本認識

 危機管理の最上の策は、その発生を予防することである。

 危機の発生を予防する上で最も重要なことは、経営者の危機に対するマインドや認識であるといわれている。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。

 

 




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