◆SH2440◆企業活力を生む経営管理システム―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―(第20回) 齋藤憲道(2019/04/01)

企業活力を生む経営管理システム

―高い生産性と高い自己浄化能力を共に実現する―

同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

1. 企業規範の4つの層 各層の内容と制定責任者

(2) 第2層(方針)

2)「決裁規程」で、経営の意思決定プロセスと組織責任者への権限委譲の範囲を示す。

  1. (注)「決裁規程」自体は、取締役会が決めるべき事項である[1]

 取締役会は、社長その他の役職者・組織責任者に付与する決裁権限と責任の範囲を「決裁規程」で明らかにして、社内に周知する。

 決裁規程では、決裁事項ごとに個々の案件の重要性を勘案して、最終決裁権者(特に重要な事項及び法定事項は取締役会)を定め、かつ、関係部門の合意[2]を要する事項を定めて、経営における意思決定のプロセスを明らかにする。

 1件の決裁にどの範囲まで含めるかは、事業の実態を考慮して会社ごとに決める。

  1. (注1) 工場建設の場合、そのプロジェクト全体(例えば、土地50億円、建物100億円、機械装置300億円、従業員100名等)を「方針決裁」とし、土地・建物・機械装置等の購入を個別の「実施決裁」とする例もある。
  2. (注2) 定型業務については、厳格な内部牽制システムが構築されていることが多い。この場合は、そのシステムを稼働させることを含め一括して1件として決裁し、そこで処理される個々の案件の上限(金額等)を定めて、その範囲内であれば案件毎の決裁を必要とせずに運用することが考えられる。
  3. (注3) 重要性を評価する際に考慮する要素の例
    法律に抵触する可能性がある案件か否か、1年間に発生する件数、その業務の定型化の程度、支出金額の大小・自社の負担能力の程度・支払方法(1回か、複数回分割か)、将来への影響(収支・資金、市場競争、ブランドイメージ、技術展開、取引関係等)の大きさ、実施段階における内部牽制の強さ・内部監査の実効性の程度

 経営判断の結果(可決・否決・保留、合意者の意見等)は、記録(通常は、決裁願への押印・電子スタンプ、及び意見付記)して保管される。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 




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