◆SH2326◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(139)日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス⑪ 岩倉秀雄(2019/02/12)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(139)

―日本ミルクコミュニティ㈱のコンプライアンス⑪―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、新会社の中期経営計画のうち、①お客様との新たな信頼関係の構築に関する具体的な施策を述べた。

 新会社の利益計画は、初年度・2年度の累積赤字を、3年度目に単年度黒字化し4年度目の2005年度に一掃することを目指した。

 そのための中期経営計画を「ミルクコミュニティ2005」(略称MC05)と命名、2005年度の企業像を、「ミルクコミュニティに参加する全ての人々と新しい信頼関係を築き、21世紀にふさわしい市乳会社として成長の基盤を確立します。」と謳い、4つの目標(①お客様との新たな信頼関係の構築、②事業基盤の確立、③求心力の構築、④経営基盤の確立)を設定した。

 ①お客様との新たな信頼関係の構築の基本方針を、「良質で安心・安全な商品・サービスの提供と情報開示を行う。そのために、お客様の声を聴き、ニーズを把握し、品質保証マネジメントシステムの構築等に反映させる。お客様視点の活動により新たな信頼関係の構築を目指す」とした。

 また、具体的施策には、MCQS(HACCPを基本とした独自の品質保証システム)の構築、お客様センター・ミルクコミュニティ委員会・コミュニケーション部の設置、牛乳トレーサビリティの段階的実施、品質監査の充実(内部・外部機関の活用)、ミルクコミュニティクラブの構築、お客様モニター制度の導入と活用、お客様満足度調査を踏まえたCS向上策の策定とCSレポートの経営への反映等、を設定した。

 今回は、前回の続きとして、②事業基盤の確立について考察する。

 

【日本ミルクコミュニィティ㈱のコンプライアンス⑪:中期経営計画②】(『日本ミルクコミュニティ史』159頁~161頁)

 既述したように、MC05では、2005年度に達成すべき企業像を実現するために、4つの中期経営目標を設定したが、統合に参加した3社とも厳しい経営実態にあったことと、市乳事業は、ボリュームが大きいものの利益の出ない事業と言われていたこと等から、市乳事業を専門とする新会社の経営は、社会的信頼の再構築は当然の前提条件として、事業・経営基盤を確立し、(昨日までライバル同士だった企業を一つにした)合併会社として求心力を構築することが、組織の持続的発展にとって極めて重要なテーマであった。

 そこで、中期経営計画(MC05)では、の取組みにより事業基盤の確立を目指すこととした。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。