◆SH2264◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(128)雪印乳業㈱グループの事件を組織論的に考察する㊳岩倉秀雄(2018/12/25)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(128)

―雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㊳―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、牛肉偽装事件後のコンプライアンス定着活動として、宣誓書の提出、品質勉強会と事件に関するディスカッション、米国経営倫理学会での報告、雪印乳業行動基準の浸透・定着に向けたアンケートの実施について述べた。

 雪印乳業(株)は、事件を反省し経営倫理を徹底するために、食中毒事件発生日に、社長以下全役員・従業員が、行動基準の実践を宣誓する宣誓書に署名することとし、雪印メグミルクに統合された現在も続けている。

 また、事件を風化させない月間の活動の一環として、品質保証勉強会や品質保証理解度テスト、職場ディスカッションを繰り返し実施した。

 そして、米国経営倫理学会の依頼に応じて、「新生雪印乳業の取組み」について報告、高い評価を受けビジネススクールのケーススタディにも取り上げられた。

 更に、行動基準の浸透・定着の状況を把握し課題があれば改善を図るために、役員・社員を対象にアンケートを毎年実施した。

 今回は、食中毒事件後と牛肉偽装事件後の施策を比較して、コンプライアンス経営の留意点を察する。

 

【雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㊳:2つの事件後の対応とコンプライアンス経営の留意点】 

 雪印乳業(株)は、食中毒事件後、様々の施策を実施して信頼回復に努め、一時、計画未達ではあったが売り上げは回復基調にあった。

 しかし、2年後に発覚した子会社の雪印食品(株)の牛肉偽装事件により、組織体質への社会的信用を決定的に失い、売上・利益とも大幅に下落、会社は消滅の危機に陥り解体的出直しを強いられた。

 筆者は、かねてからコンプライアンスは、組織文化に浸透定着させなければならないことを主張してきたが、雪印乳業(株)のケースは、これを裏付けると考える。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。