◆SH2253◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(126)雪印乳業㈱グループの事件を組織論的に考察する㊱岩倉秀雄(2018/12/18)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(126)

―雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㊱―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、牛肉偽装事件後のガバナンス改革、コンプライアンス体制の再構築、行動基準等について述べた。

 2002年6月の総会を控え、雪印乳業(株)は、株主オンブズマンの株主提案「安全担当社外取締役の選任等に関する定款変更の件」を受け入れ、社外取締役として、前全国消費者団体連絡会(略称消団連)事務局長の日和佐信子の就任と、「社外の目」を取り入れた企業倫理委員会の設置を決定した。

 日和佐は、①自身の言動が制約されないこと、②消費者の目で経営をチェックしていくこと、③雪印にとってのデメリットの情報も開示すること、を条件に社外取締役を引き受け、企業倫理委員会委員長にも就任した。

 また、企業倫理室を総務部企業倫理室から独立させてコンプライアンス重視の姿勢を明確にし、企業倫理委員会の事務局、新たな雪印乳業行動基準の策定、企業倫理ホットラインの窓口対応等を担当させた。

 そして、食中毒事件後、再度不祥事を発生させたことを反省し、お客様モニター制度やお客様センターに寄せられた声、企業倫理委員会からの提言、全国消費者団体等の意見を踏まえ、新たな企業理念、ビジョン、コーポレートメッセージや全役職員の参画による雪印乳業行動基準を策定した。

 今回は、リスク対応体制の見直しと企業倫理委員会の役割について考察する。

 

【雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㊱:牛肉偽装事件後の経営再建⑦】(『雪印乳業史 第7巻』483頁~495頁より)

1. リスク対応体制の見直し 

 雪印乳業(株)は、食中毒事件後、品質保証を中心に危機管理体制を再構築してきたが、牛肉偽装事件後は、品質以外の企業倫理、コンプライアンスに関するリスクマネジメントの強化の重要性を痛感、商品事故対応体制を見直すとともに(公益通報者保護法の施行も踏まえ)従業員相談窓口を設置した。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。

 

 




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