◆SH2213◆日本航空、運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策 浜崎祐紀(2018/11/28)

日本航空、運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策

岩田合同法律事務所

弁護士 浜 崎 祐 紀

 

 日本航空(JAL)は、本年10月28日にJAL44便(ロンドン発:東京行)に乗務予定だった同社の副操縦士から英国の法令に定められた基準値を超えるアルコール値が検出され、同人が逮捕・拘束された事件(以下「本事件」という。)について、11月16日、調査の経過及び再発防止策(以下「報告書」という。)を国土交通省に提出した。

 

1 事件の概要

 報告書によると、当日、副操縦士は、同社空港事務所においてアルコール検査を行った後、バスで機側に移動した。バスの運転手がアルコール臭を感じ、保安担当者に報告した。これを受け、機側で警察による呼気検査が実施されたところ、基準値を超えるアルコールが感知されたため、同人は警察に身柄を拘束された。

 警察の呼気検査では、呼気中のアルコール濃度は0.93mg/Lと測定され、その後の血液検査では、血液中のアルコール濃度189mg/100ml(0.189%)と測定された。この呼気中の0.93mg/Lは、同社の社内基準である0.1mg/Lの9倍を超える。なお、道路交通法65条1項の酒気帯び運転(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の基準値は0.15mg/Lである。また、下記資料によると、血液中のアルコール濃度が0.189%の場合、運動失調(千鳥足)状態となる。

 副操縦士は、出発時刻の26時間前頃から20時間前頃までに、ビール約1.8L及びワインボトル約2本を摂取していたようである。

 同社の運航規程には、「乗務開始の12時間前から運航終了まで一切の飲酒をしてはならない。また、12時間以前であっても乗務に支障を及ぼす飲酒をしてはならない」と規定しているところ、報告書は、副操縦士の飲酒を当該規定への違反行為と断定している。

 運航規程は、航空運送業者が定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない(航空法104条)。なお、運航規程の審査の際に用いられる運航規程審査要領細則の5-5には「酒精飲料……の影響により正常な業務ができないおそれがあると認められた場合は、業務に従事してはならない旨、記載されていること」「航空機乗組員……は、少なくとも乗務前8時間以内の飲酒を行ってはならない旨、記載されていること」が定められているが、アルコールの基準値については定められていない。

 

2 本事件におけるアルコール検査の問題

 報告書において、副操縦士は、同社空港事務所におけるアルコール検査を不正な手段ですり抜けた(呼気量が検査に十分ではなかった)可能性が指摘されている。

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(はまさき・ゆうき)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2004年東京大学経済学部卒業。2010年早稲田大学大学院法務研究科修了。2013年弁護士登録及び公認会計士登録。2003年から2006年まで監査法人トーマツに勤務。2012年から2013年まで原口総合法律事務所に勤務。2013年から2015年までPwC税理士法人に勤務。一般企業法務、会計監査業務、税務コンサルティング業務等に従事。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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