◆SH2185◆「会社は誰のものか」をあらためて考える(3・完) 梅谷眞人(2018/11/09)

「会社は誰のものか」をあらためて考える(3・完)

富士ゼロックス株式会社
知的財産部マネジャー

梅 谷 眞 人

 

4. 命題を立て直す

(2) エージェンシー問題について

 米国において、会社法の目的は、agency problem(代理人問題 ―株主対経営者、支配株主対少数株主、債権者対株主の間にそれぞれ情報格差と利害対立(conflict of interest)―)をいかに解決するか、agency cost(代理人コスト/monitoring cost等)をいかに削減するかであるとするならば、会社は株主のものであると言う主張は、何を意味しているのだろうか。

 アメリカの各州の会社法において、Principal(本人・委託者)であるcorporation(会社)に対してagent(代理人・受認者)の立場にあるdirectors(取締役)は、株主が会社に拠出した財産を自己または第三者の利益を図るために使うことなく、専ら会社の利益のために忠実かつ誠実に行動する義務、すなわちfiduciary duty(信任義務)を負っている。そして、agentにはprincipalの利益となるように会社の価値を増やす適度なincentive(外的動機付け)を与えている。日本の会社法においても、取締役には善管注意義務と忠実義務を負わせている。つまり、「会社は株主の所有物ではない」けれども、経営者に対して「会社は経営者のものではない」のだから、個人の利益追求と矛盾する倫理的行動を経営者に要求することに意味があるのだと思う。

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(うめたに・まさと)

1960年東京生まれ。1983年中央大学法学部法律学科卒業、1999年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、日立マクセル株式会社、Maxell Corp. of America、富士ゼロックス株式会社法務部、関連会社の監査役、東京都立大学(首都大学東京)非常勤講師、富士ゼロックス株式会社知財渉外グループ長などを歴任。
著書に『データベースの法的保護』(テレコム社会科学賞奨励賞)、『ジョイントベンチャー戦略大全』(共著・M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)など。

 

 




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