◆SH2183◆「会社は誰のものか」をあらためて考える(2) 梅谷眞人(2018/11/08)

「会社は誰のものか」をあらためて考える(2)

富士ゼロックス株式会社
知的財産部マネジャー

梅 谷 眞 人

 

3. 目的は何か

 それでは、命題の立て方の論理的曖昧さ、実定法解釈論との不整合があるにもかかわらず、株主は会社の所有者であると主張する論者は、誰の何の利益を守るために、会社は誰のものかという議論を展開しているのだろうか。次のような疑問が湧き上がってくる。

  1. ⑴ 誰が、如何なる目的で、「株主は会社の所有者である」と主張しているのか(Why?)
  2. ⑵ 会社が誰のものかを明らかにすると何があるのか(so what!?)。

 例えば、(a)会社の存在目的に照らして最適の統治機構を設計できるのか、(b)会社の持続可能性(Sustainability)を確保するための行動指針が得られるのか、(c)経営者の行動を規律する会社統治(Corporate Governance)のあり方、すなわち企業価値を左右する意思決定システムとしてどの機関・制度が適切かを決められるのか、(d)経営者が考慮すべき要素や守るべき価値観を明確にして、経営目標として複数の利害が相反するときに、誰の利益を優先するかの判断基準となるのか、(e)株主利益最大化のためにはそれ以外のステイクホルダーの利益を犠牲にしても許されるという正当化理由になるのか、(f)経営失敗の責任を最終的に誰に負わせるかを決められるのか、(g)株主による経営監視が一定の条件のもとで企業価値を高めることになるのか。

続きはこちらから

バックナンバーはこちらから

 

(うめたに・まさと)

1960年東京生まれ。1983年中央大学法学部法律学科卒業、1999年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、日立マクセル株式会社、Maxell Corp. of America、富士ゼロックス株式会社法務部、関連会社の監査役、東京都立大学(首都大学東京)非常勤講師、富士ゼロックス株式会社知財渉外グループ長などを歴任。
著書に『データベースの法的保護』(テレコム社会科学賞奨励賞)、『ジョイントベンチャー戦略大全』(共著・M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)など。

 

 




メールで情報をお届けします
(毎週火曜日・金曜日)

サイト内検索

長島・大野・常松法律事務所
アンダーソン・毛利・友常 法律事務所
西村あさひ法律事務所
TMI総合法律事務所
森・濱田松本法律事務所
岩田合同法律事務所