◆SH2178◆コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(115)雪印乳業㈱グループの事件を組織論的に考察する㉕岩倉秀雄(2018/11/06)

コンプライアンス経営とCSR経営の組織論的考察(115)

―雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㉕―

経営倫理実践研究センターフェロー

岩 倉 秀 雄

 

 前回は、牛肉偽装事件発覚前の雪印乳業(株)の経営再建計画の進捗と特徴的な施策について述べた。

 雪印乳業(株)は、ハード面の再建施策として、工場閉鎖(大阪、仙台・新潟・東京・高松、静岡・北陸・広島)、冷凍食品事業の分社化営業体制の変革、更なる1,000名規模の雇用調整、他社とのアライアンス、大幅アイテムカット、チーズ1,000億円構想、栄養機能食品事業の推進、経費の圧縮等を発表したほか、業績回復の思わしくない市乳事業について、地域事業部制を導入するとともに2002年上期中に分社化を検討することを発表した。

 ソフト面の施策としては、各界を代表する有識者からなる経営諮問委員会を設置し、信頼回復を柱に組織、マーケティング、ブランド、危機管理、組織風土改革等幅広い提言を受け、意志決定のための重要な判断材料とした。

 また、信頼回復と販売基盤の再整備を図るために、全社運動のVOICEプロジェクトをスタートさせたほか、創業の精神、企業理念、事業領域、ビジョン、ブランドメッセージ、企業行動規範(雪印企業行動憲章2001と雪印企業行動指針)、及び企業理念体系を整備し、これを「新しい雪印をめざして」と題した雪印21世紀コンセプトブックにまとめ、全役員・従業員に配布した。

 今回から複数回にわたり、この経営再建計画に取組んでいる間に発覚し雪印乳業(株)の再建に決定的なダメージを与えた、子会社の雪印食品(株)による牛肉偽装事件について考察する。

 

【雪印乳業(株)グループの事件を組織論的に考察する㉕:雪印食品牛肉偽装事件1】

1. 雪印食品牛肉偽装事件の概要

 雪印食品牛肉偽装事件は、2002年1月23日に発覚した、雪印乳業(株)の子会社の雪印食品(株)が、国の狂牛病対策として行われた国産牛肉の買取制度を悪用し、豪州産牛肉を国産と偽って申請、補助金をだまし取ろうとした詐欺事件である。

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(いわくら・ひでお)

経営倫理実践研究センターフェロー、日本経営倫理士協会主任フェロー研究員。

1976年北海道大学農学部卒、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)に入会し、全酪連乳業統合準備室長兼日本ミルクコミュニティ(株)設立準備委員会事務局次長、日本ミルクコミュニティ初代コンプライアンス部長。雪印メグミルク(株)社史編纂室で、『日本ミルクコミュニティ史』と『雪印乳業史第7巻』を編纂(共著)し、2016年10月よりCSR部に異動。2017年同社を退職して「社会経営研究所」(個人事務所)を設立。

青山学院大学大学院修士課程修了、雪印メグミルク(株)時代に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務コース博士後期課程を単位取得退学。

なお、業務の傍ら、トライアスロンの草創期にハワイ等のアイアンマンレースを3回完走し、日本トライアスロン協会理事長に就任、競技の普及に努めた。




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