◆SH2173◆空き家問題・放置された土地問題と「所有権の放棄」について(4・完) 梅谷眞人(2018/11/02)

空き家問題・放置された土地問題と「所有権の放棄」について(4・完)

富士ゼロックス株式会社
知的財産部マネジャー

梅 谷 眞 人

 

9. 試論

 以下、現時点における雑な試案であって、立法事実の調査や明確な根拠付けもフィージビリティ・スタディもなされていない備忘録に過ぎないけれども、以下のような論点もあるという参考意見を提示しておこうと思う。

(1) 保護法益

 国土の適正な管理、付近住民の安全(防災・防犯)、生活環境保全・衛生、不動産の有効利用

(2) 所有者不明土地の発生抑制

 相続等の不動産登記の義務化。不在者財産管理制度を見直し、多くの課題があるものの、共同相続人全員でなくても、共有相続財産として暫定的な相続登記をでき、マンションの区分所有権のように、判明している法定相続人の多数決で処分して不在者持分相当を供託することも可能な制度の導入。空き地、空き家情報のデータベース整備と情報公開による再利用や転売の促進。

(3) 所有権放棄の許容

 意思表示による不動産の所有権の放棄を認める。ただし、その意思を第三者に公示し、当該不動産の取引の安全を図るために登記を要するものとする。

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(うめたに・まさと)

1960年東京生まれ。1983年中央大学法学部法律学科卒業、1999年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、日立マクセル株式会社、Maxell Corp. of America、富士ゼロックス株式会社法務部、関連会社の監査役、東京都立大学(首都大学東京)非常勤講師、富士ゼロックス株式会社知財渉外グループ長などを歴任。
著書に『データベースの法的保護』(テレコム社会科学賞奨励賞)、『ジョイントベンチャー戦略大全』(共著・M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)など。