◆SH2128◆債権法改正後の民法の未来59 約款・不当条項規制(7) 山本健司(2018/10/09)

債権法改正後の民法の未来 59
約款・不当条項規制(7)

清和法律事務所

弁護士 山 本 健 司

 

Ⅲ 議論の経過

2 議論の概要

(5) 第3ステージ

ウ さらに、第89回会議(H26.5.27)において、部会資料78Bの下記のような論点設定のもとに議論がなされた。

 部会資料78Bでは、「定型条項の定義」について、部会資料75Bの「当事者の一方が契約の内容を画一的に定めるのが合理的であると認められる取引」という要件には、画一的に契約内容を定めることが当事者の一方にとって利便性が高い場合をも広く包含するように読め、製品の原材料の供給契約等のような事業者間取引にも広く適用されるとすれば問題である等といった反対意見があったとして、定型条項が用いられる取引の典型例として想定しているのは「多数の人々にとって生活上有用性のある財やサービスが平等な基準で提供される場合や、提供される財やサービスの性質や取引態様から、多数の相手方に対して同一の内容で契約を締結することがビジネスモデルとして要請される取引などである」という従前の理解を前提としたうえで、そのような取引における「契約内容が画一的に定められることが通常であること」及び「その契約締結過程では、相手方が定型条項の変更を求めずに契約を締結する(契約交渉が行われない)ことが取引通念に照らして合理的である」という特徴ないし要素を「定型条項」の定義に取り込むという提案内容が示された。

【部会資料78B】

  1. 第4 約款(定型条項の定義)
     定型条項とは、契約の内容が画一的であることが通常である取引において、当事者の一方により準備された契約条項の総体であって、相手方がその変更を求めずに契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるものをいう。ただし、当事者が異なる内容の合意をした契約条項を除く。

 第89回会議の議論では、個別合意の優先は異なる内容の合意をした場合に限定されないはずである等といった意見が述べられる一方、個別に約款の修正を合意すれば但書で適用が外れるとしても、交渉の余地があることで全体が定型条項でなくなりはしないか、異なる内容の合意をした契約条項があれば全体として定型条項ではなくなるのか、全体としては定型条項だけれどもその契約条項については定型条項に関する規律が及ばないというのかを明確にした方が良いといった意見や、本文部分は取引の客観的性質で分け、交渉して異なる合意をした場合が但書である、ある人は交渉して同じ内容になっており、ある人は交渉しないで同じ内容になっている場合に、ある人との関係では変更できないけれどもある人とは変更できるということになると定型条項を使って画一的に顧客を扱うという趣旨からすると困った事態が起こるのではないかという指摘もある等といった意見も述べられた。

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(やまもと・けんじ)

京都大学法学部卒業。清和法律事務所(http://www.seiwa-law.com/)パートナー弁護士。種々の企業からの法律相談、訴訟、M&A等の案件を取り扱う他、消費者問題に取り組む。主な公職は、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会(民法改正部会、消費者契約法部会)委員・幹事(平成13年~現在)、同連合会司法制度調査会特別委嘱委員(平成23年~30年)、内閣府消費者委員会消費者契約法専門調査会委員(平成26年~29年)など。主な著書は、日本弁護士連合会編「実務解説・改正債権法」(弘文堂、平成29年)、大阪弁護士会民法改正問題特別委員会編「実務解説・民法改正」(民事法研究会、平成29年)など。民法(債権法)改正法案が国会で審議された際には参議院法務委員会において参考人として意見陳述。

 




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