◆SH2104◆パナソニック、大阪国税局からの更正通知書の受領と対応 佐藤修二(2018/09/25)

パナソニック、大阪国税局からの更正通知書の受領と対応

岩田合同法律事務所

弁護士 佐 藤 修 二

 

 パナソニックは、本年9月11日、2016年3月期及び2017年3月期につき、大阪国税局から、所得金額421億円の申告漏れがあるとする同日付の更正通知書を受領した旨発表した。発表によれば、パナソニックは、2017年8月から税務調査を受けており、指摘の内容は、同社の海外子会社の株式譲渡に係るものということである。以下、パナソニックのプレスリリースの内容を元に検討してみたい。

 事案は、末尾に図示のとおり、パナソニックが海外持株体制の再編を進める中で、パナソニックノースアメリカ株式会社の全株式を、パナソニックの100%子会社であるパナソニックホールディングオランダ有限会社に譲渡したというものである。

 大阪国税局は、かかる株式譲渡の価額は、時価を下回る価格によるものであり、時価との差額は、国外関連者への寄附金(租税特別措置法66条の4第3項)として、パナソニックの課税所得算定上、損金に算入できないものとした。しかし、パナソニックは、譲渡価額は客観的な評価に基づく適正な時価であるとして、不服申立て等の必要な手続を行う予定であるとしている。

 パナソニックによる公表情報は、以上の程度であり、詳細は分からない。しかし、日本企業のグローバル展開という観点からは、課税に対してやや違和感も否めない。

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(さとう・しゅうじ)

岩田合同法律事務所弁護士。2000年弁護士登録。1997年東京大学法学部、2005年ハーバード・ロースクール(LL.M., Tax Concentration)各卒業。2005年Davis Polk & Wardwell LLP (NY)勤務。2011年~2014年東京国税不服審判所国税審判官。中里実他編著『国際租税訴訟の最前線』(共著、有斐閣、2010)等税務に関する著作多数。

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