◆SH2081◆経産省、「『スピンオフ』の活用に関する手引」を改訂 泉 篤志(2018/09/11)
経産省、「『スピンオフ』の活用に関する手引」を改訂
岩田合同法律事務所
弁護士 泉 篤 志
本年8月31日、経産省は、「『スピンオフ』の活用に関する手引」の改訂版を公表した。同改訂は、平成30年度税制改正の内容を踏まえ、①スピンオフ準備のための完全支配関係内の組織再編の適格要件の緩和、②スピンオフ元の会社による証券会社への分割割合等の通知義務について説明を追加したものである。かかるスピンオフは、平成29年度及び平成30年度の税制改正並びに本年7月に施行された改正産業競争力強化法により、企業にとって利用し易い制度となったためその概要を紹介することとする。
まず、スピンオフとは、一般的に、自社内の特定の事業部門又は子会社を切り出して独立させ、独立した会社の株式は元の会社の株主に交付されるものをいう。かかるスピンオフにより、(1)元の会社が中核事業に専念することが可能になる(選択と集中)、(2)両会社がそれぞれ独自に投資家から資金調達を行うことが可能となる、(3)独立した会社は従来自社グループの競合会社であった会社とも取引をすることが容易となる(取引先の拡大)等のメリットが想定され、両会社の企業価値の向上が期待される。
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(いずみ・あつし)
岩田合同法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2005年弁護士登録。2013年University of Southern California卒業 (LL.M.)。2014年ニューヨーク州弁護士登録。「特集 改正会社法と実務対応Q&A」(共著 金融法務事情2014年9月25日号)、「IPOと戦略的法務-会計士の視点もふまえて」(共著 商事法務 2015年)等著作多数。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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