◆SH2041◆債権法改正後の民法の未来48 付随義務・保護義務(2) 阪上武仁(2018/08/23)

債権法改正後の民法の未来 48
付随義務・保護義務(2)

北浜南法律事務所

弁護士 阪 上 武 仁

 

3 議論の経過

(2) 概要

  1. ア  付随義務及び保護義務は、前回3(1)のとおり、当初、債権債務関係における信義則の具体化として議論され、債務者の本来的な給付義務に付随する義務や債権者の協力義務などが裁判例で認められていることを受け、それらの義務の法的根拠を規定すべく議論された。
  2. イ  第1読会である第9回会議においては、信義則が、債権の行使または債務の履行の際に誠実に行動すべきであるということのほか、契約関係においても信義則が義務の発生根拠となることを明らかにするために、民法1条2項のほか、契約に関する基本原則の個所に規定を設けるべきであるという意見が出された。また、実務的な視点から、現行の信義則の規定だけでは、実際の裁判において使いにくいことが指摘され、民法1条2項の規定以外に、民法の債権の規定の中にも信義則の規定を設ける方がよいという意見が出された。そして、規定するにあたっては、契約の性質や内容、もしくは当事者の地位や属性等の具体的を例示するべきであるとの意見があった。
     これに対し、何が信義誠実であるかは多様であり、規定化することができないのではないか、また民法全体を通じて適用される信義則を、改めて債権債務関係の個所に設けることは、かえって信義則が民法全体に通じるものであることを分かりにくくするおそれがあるのではないか、という観点から、規定を設けること自体に反対する意見があった。

続きはこちらから

バックナンバーはこちらから

 

(さかうえ・たけひと)

北浜南法律事務所(http://kitahama-minami.com/

【略歴】
 平成9年3月立命館大学法学部卒業,平成18年3月関西学院大学司法研究科修了,平成19年12月大阪弁護士会登録(司法修習期第60期)。平成25年5月に北浜南法律事務所を開設。大阪弁護士会民法改正問題特別委員会委員。日本私法学会会員,日本医事法学会会員。

【著書・論文】
 共著『実務解説 民法改正』(民事法研究会、2017年)、共著『Q&A商標・意匠・不正競争防止法』(経済産業調査会、2016年)、「顛末報告義務の法的性質及びその範囲」年報医事法学30号(2015年)46頁、その他多数。