◆SH1980◆企業法務フロンティア「エストニアにおける裁判手続等のIT化」 井上 拓(2018/07/20)
企業法務フロンティア
エストニアにおける裁判手続等のIT化
日比谷パーク法律事務所
弁護士 井 上 拓
裁判手続等のIT化を求める声が強い。欧米諸国では既に相当程度進められているが、我が国の歩みは遅い。事実、世界銀行の「Doing Business 2018」(世界190ヵ国の事業環境を項目毎に採点し総合結果に基づき順位付けしたもの)における我が国の「Court automation」の項目(4点満点)は、僅か1点である。
そうした中、平成29年10月に「裁判手続等のIT化検討会」(以下「IT化検討会」)が設置され、翌年3月には「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」が発表された。IT化検討会では、韓国、アメリカ、シンガポール、ドイツ、スペインの民事裁判手続きが紹介されている。本稿は、エストニアにおける民事裁判手続きを紹介するものである。
エストニアは、人口130万人と小規模だが、「世界最先端の電子国家」とも呼ばれるICT先進国であり、裁判手続等のIT化も進んでいる。実際、先述の「Doing Business 2018」における同国の「Court automation」の項目は、満点(4点)である。
エストニアでは、原則として、「Public e-File」と呼ばれるウェブシステムを用いて、電子的に裁判所に申立て等を行う。具体的には、ポータルサイトにログインし、当事者に関する基本的なデータと請求の内容を入力する。関連する文書や証拠も、同様に提出できる。また、ポータルサイトにログインすると、自身が関与している事件の審理に関するデータにアクセスでき、そこで手続きの進捗状況を把握できる。
(いのうえ・たく)
日比谷パーク法律事務所 弁護士。2003年:灘高卒業。2007年:東京大学工学部卒業。2009年:東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム修了。2010年:東京大学法科大学院修了。2011年:弁護士登録。現在:米国留学中。エストニアと日本のハイブリッドベンチャーPlanetwayのリーガルパートナー。
日比谷パーク法律事務所 http://www.hibiyapark.net/
所属する弁護士がそれぞれコーポレートガバナンス等の会社法、M&A、特許法・著作権法等の知的財産権法、ファイナンス法、スポーツ法、システム開発を含むデジタル法、紛争処理などの得意分野に精通し、各分野のトップランナーとして「少数精鋭」と呼ばれるにふさわしいリーガル・サービスを提供するブティック型ファーム。
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