◆SH1968◆債権法改正後の民法の未来38 継続的契約(3・完) 中祖康智(2018/07/13)
債権法改正後の民法の未来 38
継続的契約(3・完)
中祖法律事務所
弁護士 中 祖 康 智
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- ① 大阪弁護士会における議論
- 大阪弁護士会でも、本規律を設ける趣旨、すなわち当事者の少なくとも一方が契約の継続性に対して法的に保護されるべき信頼ないし期待を抱いている場合に、同当事者に何らかの法的救済を与えるべきであるということ、また、このことを事前に明らかにすることにより、継続的契約の解消の場面における紛争を未然に防止すべきであるということに対しては、特段の異論はなかった。
- しかし、このことを明文で規律できるかどうかについては、前回述べたと同様、継続的契約及びこれに関する問題の多様性が問題視された。議論の際にも、「継続的契約」という用語が意味する契約の種類や範囲が各委員により区々であるという場面があった。
- 結局、紛争の未然防止の要請があることについては特段の異論はなかったものの、定義、要件及び効果のいずれについても具体的な規律として明文化できる立案はできず、不完全な規律はむしろ無用の紛争を惹起しないかと懸念する意見もあり、規律の内容については慎重な検討を要すべきであるとの意見が根強く残った。
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(なかそ・やすとも)
平成14年3月一橋大学法学部卒業、平成17年10月大阪弁護士登録(司法修習58期)。主な取り扱い分野は、会社法務全般、信託に関する案件、日本とドイツ語圏諸国をまたぐ相続案件 等
【著書】
(共著)『実務解説 民法改正』(民事法研究会、2017年)