◆SH1984◆債権法改正後の民法の未来39 暴利行為(1) 山本健司(2018/07/23)

債権法改正後の民法の未来 39
暴利行為(1)

清和法律事務所

弁護士 山 本 健 司

 

Ⅰ 結論

 暴利行為については、法制審議会における議論の結果、立法の是非及び要件に関して意思の統一が図れないという理由により、改正民法での立法が見送られた。

 しかし、上記の帰結は、暴利行為に関する明文規定を民法典に条文としては明定しないということになったにすぎず、裁判実務において現に活用されている暴利行為という法理の存在を否定するものでも、その重要性を否定するものでもない。

 なお、消費者契約の分野においては、平成28年・平成30年の消費者契約法改正によって、暴利行為の問題事例の一部について消費者取消権が規定され、一定の立法的な手当てがなされた。

 

Ⅱ 立法提案とその背景

1 公序良俗の1類型としての「暴利行為」

 民法90条(いわゆる公序良俗規定)は、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」とのみ規定しており、その具体的な内容は必ずしも明確ではない。

 この点、大判昭和9・5・1民集13巻875頁は、「①相手方の窮迫、軽率又は無経験に乗じて、②著しく過当の利益を獲得する行為」を公序良俗に反し無効であると判示し(事案は、債務の担保として質入れされた保険金債権を丸取りする特約を暴利行為として無効とするもの)、公序良俗規定の1類型として「暴利行為」という考え方を認めた。

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(やまもと・けんじ)

京都大学法学部卒業。清和法律事務所(http://www.seiwa-law.com/)パートナー弁護士。種々の企業からの法律相談、訴訟、M&A等の案件を取り扱う他、消費者問題に取り組む。主な公職は、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会(民法改正部会、消費者契約法部会)委員・幹事(平成13年~現在)、同連合会司法制度調査会特別委嘱委員(平成23年~30年)、内閣府消費者委員会消費者契約法専門調査会委員(平成26年~29年)など。主な著書は、日本弁護士連合会編「実務解説・改正債権法」(弘文堂、平成29年)、大阪弁護士会民法改正問題特別委員会編「実務解説・民法改正」(民事法研究会、平成29年)など。民法(債権法)改正法案が国会で審議された際には参議院法務委員会において参考人として意見陳述。

 




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