◆SH1874◆実学・企業法務(第142回)法務目線の業界探訪〔Ⅲ〕自動車 齋藤憲道(2018/05/31)

実学・企業法務(第142回)

法務目線の業界探訪〔Ⅲ〕自動車

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

〔Ⅲ〕自動車

1. 商品・業界の特徴

(1) 自動車は、基本的に同じ構造(車輪、座席、操作、動力源、荷台等)と機能(人・貨物の移動、作業性)を持つ商品である。ただし、ハンドルの右左は、国によって異なる。

  1. ・ 複数の製品の性能を比較し易い。
  2. (例1)同一コースでスピード・耐久性を争う競技を開催することが可能。
    F1(モナコグランプリ他)、インディ500、ル・マン24時間レース、ダカールラリー他
  3. (例2)安全基準、環境基準等の適合・不適合を客観的に判断し易い。
     
  4. ・ 利用目的に応じて形状・特性を変え、特定の機能を装備できる。
    普通乗用車、トラック、ダンプカー、トレーラー、フォークリフト、消防車、救急車、保冷車
     ※ 特殊用途では、車輪に代えてキャタピラを用いる。(ブルドーザー、ショベルカー等)
     

(2) 自動車には、多くの長所がある。

  1. ・ 利用者に利便性・経済性を提供する。
    人・物の移動・搬送
  2. ・ 搭乗者(運転者を含む)に爽快感・達成感・充実感を与える。
     

(3) 自動車には、短所も多い。

  1. ・ 大きく、重く(普通乗用車は約1t)、高速走行することが多いので事故の危険がある。
    事故の原因になる(交通事故、操車ミスによる事故等)
    (注) このため、車幅、車高、ハンドル性能、ブレーキ性能、方向指示機能等の規制が多い。
  2. ・ 人の社会生活や地球環境に害を与える。
    天然資源をエネルギー源として消費する。
    公害、環境の汚染・破壊の原因になる。
     大気汚染、騒音、振動、廃棄物問題、地球温暖化等
     

(4) 自動車は、長所が短所よりはるかに大きいので、短所を最小にして利用する。

  1. ・ 各種のインフラを整備(道路、標識、信号他)
  2. ・ 各種の法制度を構築(速度規制、排ガス規制、交通事故発生を前提に強制保険を導入他)
     

(5) 自動車産業は巨大で裾野が広く、どの国でも基幹産業とされる。

  1. ・ 雇用吸収力(失業問題と関係)、貿易額(為替レート・外貨準備高に影響)が大きい。
    日本市場(年間)は、新車500~600万台、中古車300~400万台[1]
    自動車の輸出・輸入をめぐって、しばしば国家間で深刻な貿易摩擦が発生する。
  2. ・ 1台の完成車は2~3万個の部品で組み立てられ、完成車メーカーを頂点にするピラミッド型の産業が形成される。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 




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