◆SH1846◆債権法改正後の民法の未来29 不実表示・相手方により生じた動機の錯誤(5・完) 上田 純(2018/05/18)

債権法改正後の民法の未来 29
不実表示・相手方により生じた動機の錯誤(5・完)

久保井総合法律事務所

弁護士 上 田   純

 

6 所感

 本提案については、前述のとおり、当初の消費者契約法4条の取消権(不実告知、不利益事実の不告知)の一般法化という提案から、途中で大きく方針転換され、動機の錯誤の一類型として再提案されたことが特徴的である。

 消費者契約法4条の取消権の一般法化は、消費者契約(消費者・事業者間の契約)において消費者だけに民法の取消権(無効理由)より緩やかに認められる取消権が、新たに民法対象領域―事業者間や労働契約・消費者契約(逆適用)など―においても認められることになると捉えられ、現在の事業者間契約や労働契約などに不当な影響を及ぼすとして、強い反発を受けることになった。事業者側の反発はある程度予想されていた可能性はあるが、逆適用の問題により消費者や労働者側からも反発を受けることは想定外だったと思われる。

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(うえだ・じゅん)

久保井総合法律事務所 パートナー弁護士 j-ueda@kuboi-law.gr.jp

金融、不動産、M&A、事業再生、債権回収、BtoC、相続、訴訟等を幅広く取り扱い、「金融機関の融資拒絶をめぐる法的諸問題」(金融法務事情1993号)、『多様化する事業再生』(共著・商事法務、2017年)、『コンメンタール消費者契約法〔第2版増補版〕』(共著・商事法務、2015年)等各分野の執筆や講演歴多数。

1992年千葉県立千葉高等学校卒業、1996年京都大学法学部卒業、1998年弁護士登録(大阪弁護士会)、2008年近畿大学法科大学院非常勤講師。現在、司法試験考査委員・予備試験考査委員(民法)、大阪弁護士会司法委員会副委員長・民法商法部会長、同民事訴訟法の運用に関する協議会副座長、金融法学会会員、日本民事訴訟法学会会員等。

久保井総合法律事務所 http://www.kuboi-law.gr.jp/

 




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