◆SH1820◆わが国におけるヘッジファンド・アクティビズムに対する法的対応と課題(10・完) 山田剛志/井上健(2018/05/09)

わが国におけるヘッジファンド・アクティビズムに対する法的対応と課題
(10・完)

成城大学法学部
教授 山 田 剛 志

バークレイズ証券株式会社
金融法人部長・マネジング・ディレクター 井 上   健

 

6. 企業価値の向上と経営者の責任 〜まとめに代えて

 以上見てきたように、アクティビスト・ファンドの活動の評価には、企業価値の増加、株主共同の利益の観点からは正負両面がある。とはいえ、今後わが国でもその活動が活発化することが予想され、日本企業がアクティビスト・ファンドと対峙するケースが否応なく増加することは間違いない。

 いわゆる「日本の失われた20年」を経て、日本企業の競争力強化のために、コーポレート・ガバナンスを通じた経営陣に対する規律強化が叫ばれており、アクティビスト・ファンドも株主である以上、経営陣としては真摯にファンドに向き合うことが求められる。ましてや、最近のアクティビスト・ファンドの主張は、かなり吟味された内容になっており、かつての脅しに近いものや的外れなものが少なくなっていることから、是々非々の立場でアクティビスト・ファンドに対応することが必要である。常に経営者は企業価値を高めるような経営を心がけ、たとえアクティビスト・ファンドからの提案であっても、建設的な提案は受入れながらも、株主全体に責任を負っている経営者として、毅然としてアクティビスト・ファンドに対峙すべきである。

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(やまだ・つよし)

博士(法学)。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得後、新潟大学法学部助教授、実務法学研究科准教授を経て、2009年より成城大学法学部教授。2004年より弁護士登録(現在は東京弁護士会に所属)。株式会社トップカルチャー社外監査役、日本瓦斯株式会社社外監査役を務める。
「デリバティブ取引と法人顧客への説明義務および適合性原則――東京高判平成26年3月20日を中心に」判例タイムズ1438号(2017)、「証券会社の破綻処理と証券会社取締役の注意義務」金融・商事判例1483号(2016)ほか業績多数。

 

(いのうえ・たけし)

東京大学法学部卒、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールにて経営学修士号(MBA)取得。大蔵省(現 財務省)、モルガンスタンレー証券、シティグループ証券等を経て、2016年10月よりバークレイズ証券に勤務。バークレイズ証券では、投資銀行部門 金融法人部長・マネージングディレクターとして、銀行、保険、ノンバンク、PEファンド等のM&Aや資金調達案件を担当。
サードポイント(米)からの敵対的提案に対するソニーの買収防衛、外国人株主らによる敵対的提案に対するオリンパスの防衛などの案件を担当し、クロスボーダーの企業買収、国内産業再編、企業再生、敵対的買収防衛案件など、複雑で難易度の高い案件について豊富なアドバイス経験・実績を有する。

 




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