◆SH1797◆わが国におけるヘッジファンド・アクティビズムに対する法的対応と課題(3) 山田剛志/井上健(2018/04/25)

わが国におけるヘッジファンド・アクティビズムに対する法的対応と課題(3)

成城大学法学部
教授 山 田 剛 志

バークレイズ証券株式会社
金融法人部長・マネジング・ディレクター 井 上   健

 

2. アクティビスト・ファンドとは何か

(2) アクティビスト・ファンドの行動と評価

 アクティビスト・ファンドの提言が合理的なもので、多くの株主の賛同を得ると、経営改善への期待が起こり、株価が上がることがある。その点からも、肯定的な評価をする研究もある。ここでは、アメリカにおける近時の論文を参照して、肯定説、否定説を検討する。

  1.  ① 肯定的な見解
  2.    上場企業において、支配的な株主を除き、株主が分散しているため、自己の利益のため集団で行動することは困難だが、アクティビスト・ファンドにより、このような株主の利益を代弁して、行動することが可能である。
  3.    またわが国では、コーポレートガバナンス・コードの規定にもあるとおり、株主との対話を重視することから、株主と直接面談等を行う機会が増えた。自社を客観的に検討し、セグメント毎の収益性を検討するなど、建設的な提案を受けることがある。発行会社の側でも、そのような提案に備えて、常に自社を客観的にみて、経営の改善策を準備することが求められている。
  4.    アメリカの実証研究によると、アクティビスト・ファンドにより、少なくとも短期的には株価の上昇がみられることが指摘される。また対象会社の企業価値が下がったという実証研究もない。

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(やまだ・つよし)

博士(法学)。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得後、新潟大学法学部助教授、実務法学研究科准教授を経て、2009年より成城大学法学部教授。2004年より弁護士登録(現在は東京弁護士会に所属)。株式会社トップカルチャー社外監査役、日本瓦斯株式会社社外監査役を務める。
「デリバティブ取引と法人顧客への説明義務および適合性原則――東京高判平成26年3月20日を中心に」判例タイムズ1438号(2017)、「証券会社の破綻処理と証券会社取締役の注意義務」金融・商事判例1483号(2016)ほか業績多数。

 

(いのうえ・たけし)

東京大学法学部卒、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールにて経営学修士号(MBA)取得。大蔵省(現 財務省)、モルガンスタンレー証券、シティグループ証券等を経て、2016年10月よりバークレイズ証券に勤務。バークレイズ証券では、投資銀行部門 金融法人部長・マネージングディレクターとして、銀行、保険、ノンバンク、PEファンド等のM&Aや資金調達案件を担当。
サードポイント(米)からの敵対的提案に対するソニーの買収防衛、外国人株主らによる敵対的提案に対するオリンパスの防衛などの案件を担当し、クロスボーダーの企業買収、国内産業再編、企業再生、敵対的買収防衛案件など、複雑で難易度の高い案件について豊富なアドバイス経験・実績を有する。

 




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