◆SH1795◆社外取締役になる前に読む話(18)――業務執行取締役の裁量権逸脱行為に関する監視義務違反⑵ 渡邊 肇(2018/04/25)

社外取締役になる前に読む話(18)

ーその職務と責任ー

潮見坂綜合法律事務所

弁護士 渡 邊   肇

 

XVIII 業務執行取締役の裁量権逸脱行為に関する監視義務違反(2)

 先回は、業務執行取締役の裁量権逸脱行為と社外取締役の監視義務の関係について検討した。今回は、翻って業務執行取締役の裁量権逸脱行為とはどのような場合に観念されるのかという点について考えてみたい。

 ワタナベさんの疑問は以下のようなものであった。

 当社の今期決算が確定したが、決算書類によると、巨額の特別損失が計上されている。決算取締役会においてそれに対して説明を求めたところ、社長命令でデリバティブ取引を含む新規の金融取引を行った結果計上されたものであり、しかもこれを回収することは困難であるという説明を受けた。また、当社においては、デリバティブ取引等を行うことを禁止する内規等はないということであった。

 取締役は皆、それはそれで仕方ない、損害の拡大防止に努める以外にないという反応なのだが、本当にそのような対応で問題ないのだろうか。自分も監視義務違反に問われ、会社が被った損害の賠償責任を問われることはないのだろうか。

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(わたなべ・はじめ)

1985年東京大学法学部卒業、1987年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)、同年森綜合法律事務所(現 森・濱田松本法律事務所)に入所。1993年にイリノイ大学ロースクールを卒業後、Jenner & Block法律事務所、アメリカ合衆国連邦取引委員会(FTC)で執務。2007年潮見坂綜合法律事務所を開設。アメリカ法曹協会(ABA)会員・ニューヨークおよびシカゴ弁護士会会員。

(著書および論文)
「米国における海外腐敗行為防止法(FCPA)執行の現状と対策――反トラスト法との比較において」NBL1022号(2014年)
「米国反トラスト法執行の実務と対策〔第2版〕」商事法務(2015年) ほか多数