◆SH1832◆債権法改正後の民法の未来25 不実表示・相手方により生じた動機の錯誤(1) 上田 純(2018/05/14)

債権法改正後の民法の未来 25
不実表示・相手方により生じた動機の錯誤(1)

久保井総合法律事務所

弁護士 上 田   純

 

1 最終の提案内容

「第1 錯誤

 民法第95条の改正に関して次のような考え方があるが、どのように考えるか。

【甲案】

 民法第95条の規律を次のように改めるものとする。

  1. 1 意思表示に錯誤があり、その錯誤がなければ表意者は意思表示をしていなかった場合において、その錯誤が意思表示をするか否かの判断に通常影響を及ぼすべきものであるときは、表意者は、その意思表示を取り消すことができる。
  2. 2 ある事項の存否又はその内容について錯誤があり、その錯誤がなければ表意者は意思表示をしていなかった場合において、次のいずれかに該当し、その錯誤が意思表示をするか否かの判断に通常影響を及ぼすべきものであるときは、表意者は、その意思表示を取り消すことができる。
    1. ア 表意者が法律行為の効力を当該事項の存否又はその内容に係らしめる意思を表示していたこと。
    2. イ 相手方の行為によって当該事項の存否又はその内容について錯誤が生じたこと。
  3. 3 1又は2の錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、表意者は、次のいずれかに該当するときを除き、1又は2による意思表示の取消しをすることができない。
    1. ア 相手方が、1又は2の錯誤があることを知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるとき。
    2. イ 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
  4. 4 1又は2による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

【乙案】

 民法第95条については、現状を維持する。」

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(うえだ・じゅん)

久保井総合法律事務所 パートナー弁護士 j-ueda@kuboi-law.gr.jp

金融、不動産、M&A、事業再生、債権回収、BtoC、相続、訴訟等を幅広く取り扱い、「金融機関の融資拒絶をめぐる法的諸問題」(金融法務事情1993号)、『多様化する事業再生』(共著・商事法務、2017年)、『コンメンタール消費者契約法〔第2版増補版〕』(共著・商事法務、2015年)等各分野の執筆や講演歴多数。

1992年千葉県立千葉高等学校卒業、1996年京都大学法学部卒業、1998年弁護士登録(大阪弁護士会)、2008年近畿大学法科大学院非常勤講師。現在、司法試験考査委員・予備試験考査委員(民法)、大阪弁護士会司法委員会副委員長・民法商法部会長、同民事訴訟法の運用に関する協議会副座長、金融法学会会員、日本民事訴訟法学会会員等。

久保井総合法律事務所 http://www.kuboi-law.gr.jp/

 




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