◆SH1660◆債権法改正後の民法の未来9 債権者代位権(3) 髙尾慎一郎(2018/02/21)

債権法改正後の民法の未来 9
債権者代位権(3)

--事実上の優先弁済--

梅田中央法律事務所

弁護士 髙 尾 慎一郎

 

Ⅳ 立法が見送られた理由

 中間試案に対するパブリックコメントにおいて、債権者代位権による事実上の債権回収は、債務名義を取得して強制執行制度を利用すると費用倒れになるような場面において、強制執行制度を補完する役割を果たしていることから、そのような実務上の機能を変更する内容の明文規定を設ける弊害は大きい旨の指摘、代位債権者による相殺を禁止し、債務者の代位債権者に対する返還債権を目的とする債権執行を要求したとしても、他の債権者が転付命令前に執行手続に参加することは実際上想定しにくく、代位債権者の手続的な負担が増えるだけとなる可能性もある旨の指摘がなされ、仮に相殺禁止に関する明文の規定を置かないとしても、相殺権濫用の法理などによって相殺が制限されることも考えられ、とりわけ個別の事案における債権者平等の観点からそのような判断がされることは十分にあり得るとのことから、相殺禁止の規律について明文の規定を置くことは見送ることとし、実務の運用や解釈等に委ねることとされた。

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(たかお・しんいちろう)

髙尾慎一郎(梅田中央法律事務所)

2003年大阪大学法学部卒業、2004年弁護士登録(57期)。民法改正には、2008年、大阪弁護士会に民法改正対応プロジェクトチームが設置された当初から関与し、主に債権者代位権を担当する。

【主な著書】『新訂貸出管理回収手続双書 仮差押え~仮処分・仮登記を命ずる処分~』(金融財政事情研究会)(共著)、「大学における課外活動中の事故と大学の損害賠償責任」『弁護士実務研究:藤井伊久雄弁護士還暦記念論集』(日本評論社)、『実務解説 民法改正』(民事法研究会)(共著)、『Before/After 民法改正』(弘文堂)(共著)

 




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