◆SH1525◆実学・企業法務(第98回) 齋藤憲道(2017/12/04)

実学・企業法務(第98回)

第3章 会社全体で一元的に構築する経営管理の仕組み

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

Ⅲ 情報開示から見える4つの仕組みの構造

 前項で、「コーポレート・ガバナンス」、「内部統制システム」、「リスク・マネジメント」、「コンプライアンス確保」の4つの仕組みを個々に観察し、それぞれが互いに他の仕組みの構成要素になっていることが分かった。

 本項では、会社法、金融商品取引法、証券取引所規則等によって提出・報告等が義務付けられている株主総会関係書類や決算関係書類等の内容を観察して、上記と同じ構造が見られることを確認する。

 例えば、事業報告の「内部統制システム」を説明する欄では「リスク・マネジメント」「コンプライアンス」に言及するように求められ、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンス」の欄では「会社の機関」「内部統制システム」「リスク・マネジメント」に関する記述が求められる。

 他の報告書等においても、4つの仕組みが相互に入り組んでいることが観察される。

 そうすると、この4つの仕組みの中のどれを起点にして経営管理システムの設計を始めても、全体像とその構造はいつまでも不鮮明であり、ゴールに到達するのは難しい。

 やはり、自社に最適な(エンジン機能とブレーキ機能を共に内蔵する)経営管理システムは、自らの経営理念等に基づいて設計し、その有効性を確かめる評価基準として4つの仕組みを用いるのが実践的だと思われる。

 (この点については、全編の末尾で再び考えたい。) 

 なお、上場会社の場合は、会社法に基づく情報開示よりも、金融商品取引法及び証券取引所規則に基づく開示の方が質・量ともに圧倒的に上回るので、後者を基盤として経営管理の仕組みを考えるのが効果的だろう。

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(さいとう・のりみち)

1971年東京大学法学部卒業。同年松下電器産業㈱に入社し、営業、経理、経営企画、法務の業務を担当。松下電子部品㈱経営企画室長、松下電器産業㈱法務本部法務部長、JVC・ケンウッド・ホールディングス㈱監査役等を経て、2009年パナソニック㈱を退職。損害保険ジャパン日本興亜㈱ 業務品質・コンプライアンス委員会委員長を歴任。

また、内閣府消費者委員会委員(2015年秋退任)、消費者安全調査委員会臨時委員(現)、製品事故判定第三者委員会合同会議議長(現。消費者庁と経済産業省合同)、国民生活センター紛争解決委員会委員(現)、経済産業省産業構造審議会臨時委員、神戸市公正職務審査会委員(現)

 



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