◆SH1473◆日本企業のための国際仲裁対策(第59回) 関戸 麦(2017/11/02)

日本企業のための国際仲裁対策

森・濱田松本法律事務所

弁護士(日本及びニューヨーク州)

関 戸   麦

 

第59回 仲裁判断後の手続(3)-仲裁判断の取消その3

1. 仲裁判断の取消

(8) 仲裁判断の取消に関する日本の裁判例

 仲裁判断の取消について定める日本の仲裁法44条で検索をすると、判例データベース上3件の裁判例が表れる。以下、これらの裁判例につき、要点を紹介する。なお、現行仲裁法が施行されたのは平成16年3月1日であり、いずれの裁判例も、同日以降に仲裁判断の取消の申立があったものである。

 3件のうち、仲裁判断を取り消すとの判断をしたものが2件ある。過半数ということになるが、前回(第58回)の1(7)項で述べたとおり、全般的に見ると、日本の裁判所は基本的に仲裁判断を取り消しておらず、仲裁判断を尊重する傾向にあると言うことができる。この差異の理由は、判例データベースに掲載されるものは、実際の裁判のごく一部に限られるところ、仲裁判断を取り消したものは、珍しく先例としてより重要な意味を持ちうるため、判例データベースに掲載されやすい点にあると考えられる。

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(せきど・むぎ)

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士。訴訟、仲裁等の紛争解決の分野において、Chambers、Legal 500等の受賞歴多数。『日本企業のための米国民事訴訟対策』(商事法務、2010年)等、国際的な紛争解決に関する執筆、講演歴多数。
1996年東京大学法学部卒業、 1998年弁護士登録(第二東京弁護士会)、森綜合法律事務所(現在森・濱田松本法律事務所)入所、2004年シカゴ大学ロースクール(LL.M)卒業、 ヒューストン市Fulbright & Jaworski法律事務所にて執務、2005年ニュ-ヨーク州弁護士登録、2007年東京地方裁判所民事訴訟の運営に関する懇談会委員、2009年日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会委員(現在副委員長)、2012年第二東京弁護士会司法制度調査会訴訟法部会部会長等。