◆SH1458◆日本企業のための国際仲裁対策(第58回) 関戸 麦(2017/10/26)

日本企業のための国際仲裁対策

森・濱田松本法律事務所

弁護士(日本及びニューヨーク州)

関 戸   麦

 

第58回 仲裁判断後の手続(2)-仲裁判断の取消その2

1. 仲裁判断の取消

(5) 仲裁判断の取消に関する手続

 日本の仲裁法において、仲裁判断の取消に関する手続は、通常の民事訴訟の手続である「判決」手続ではなく、より迅速な手続である「決定」手続による。その趣旨は、仲裁法の立案担当者によれば、「仲裁手続がいわば一審限りの迅速な解決を期する紛争解決制度であり、当事者も紛争の早期解決を望んでいることから、仲裁判断の効力を争う取消しの裁判も機動的な審理によって早期決着を図ることを可能にする必要があることにある」[1]

 また、仲裁判断の取消の申立には一般に期間制限があり、日本の仲裁法においては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から、3ヵ月以内に申立を行う必要がある(44条2項)。

 但し、仲裁判断の取消に関する判断は重大な意味を持ちうるため、日本の仲裁法では、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を開かなければ、仲裁判断の取消に関する決定をすることができないと定めている(44条5項)。すなわち、当事者双方が争える機会を確保している。

 そのため、仲裁判断の取消の申立があった後は、申立書とこれに付属する証拠を、相手方当事者(被申立人)に送付することになる。また、日本の裁判実務では、当事者双方が立ち会う期日の前に、裁判所が申立人のみと進行方法等について協議する期日を設け、合理的な進行方法を検討することも一般的である。

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(せきど・むぎ)

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士。訴訟、仲裁等の紛争解決の分野において、Chambers、Legal 500等の受賞歴多数。『日本企業のための米国民事訴訟対策』(商事法務、2010年)等、国際的な紛争解決に関する執筆、講演歴多数。
1996年東京大学法学部卒業、 1998年弁護士登録(第二東京弁護士会)、森綜合法律事務所(現在森・濱田松本法律事務所)入所、2004年シカゴ大学ロースクール(LL.M)卒業、 ヒューストン市Fulbright & Jaworski法律事務所にて執務、2005年ニュ-ヨーク州弁護士登録、2007年東京地方裁判所民事訴訟の運営に関する懇談会委員、2009年日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会委員(現在副委員長)、2012年第二東京弁護士会司法制度調査会訴訟法部会部会長等。

 



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