◆SHR004◆冒頭規定の意義―典型契約論―【4】 冒頭規定の意義―制裁と「合意による変更の可能性」―⑶ 浅場達也(2017/08/17)

冒頭規定の意義
―典型契約論―

1 冒頭規定の意義―制裁と「合意による変更の可能性」― (3)

みずほ証券 法務部

浅 場 達 也

 

Ⅲ 冒頭規定と諸法

 上において、金銭消費貸借契約と請負契約を例として、「当事者の合意による変更・排除がどの程度可能か」について検討してきた。「ポイント(7) (8) (9)」をやや一般化すれば、次のようにいうことができよう。

ポイント(10) 諸法上の典型契約と合意による変更・排除
「冒頭規定の要件に則った」契約が、制裁を有する法以外の法律の適用対象とする典型契約に該当することを、当事者の合意により変更・排除することは難しい。

 この「ポイント(10)」を踏まえると、次のように考えることができよう。

ポイント(11) 「合意による変更・排除の可能性」の意識化
「当事者の合意によりどの程度の変更・排除が可能か」について、契約書作成者は、常に意識する必要がある。特に、民法と他の制裁を有する法律との組み合わせによって生まれる「合意による変更・排除が難しい規律」は、民法の条文解釈から直接的に導かれるわけではないので、契約書作成者が自らの頭の中で常に意識して契約書を作成することが重要である。

 以下、各典型契約につき、冒頭規定が民法以外の法律にどのように取り込まれているかという観点から、簡単に諸法の概要をみておこう。これらは、あくまで検討の端緒というべきものであり、本格的な検討は、今後の課題である。(なお、印紙税法については、「諸法」に続いて、項を改めまとめて扱う。)

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 ※本稿中、意見にわたる部分については、執筆者の個人的な意見であり、執筆者の所属する組織の見解を示すものではない。

 

(あさば・たつや)

1958年12月生まれ。1983年東京大学法学部卒業後、同年日本興業銀行へ入行。1992年ミシガン大学ロースクールLLM、2001年から2008年にみずほ証券法務室長を務め、現在はみずほ証券法務部に勤務。

 



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