◆SH1338◆特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめについて(1) 渡邉雅之(2017/08/08)

特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめについて(1)

弁護士法人三宅法律事務所

弁護士 渡 邉 雅 之

 

 平成29年7月31日に政府の「特定複合観光施設区域整備推進会議」(以下「推進会議」という。)は『特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ~「観光先進国」の実現に向けて~』(以下「本取りまとめ」という。)を公表した[1]。本取りまとめは、政府が今後国会に提出するカジノを中心とした統合型リゾート施設(Integrated Resort、以下「IR」という。)の実施法案(以下「実施法案」という。)の方向性を示すものである。本取りまとめは、翌8月1日に「特定複合観光施設区域整備推進本部」(以下「推進本部」という。)に提出され、パブリックコメント[2]に付された(同年8月31日が意見提出期限)。同8月中には全国各地で本取りまとめについての公聴会が開催される。

 推進会議は、平成28年12月に成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(平成28年法律第115号、以下「推進法」という。)の規定に基づき、推進本部の下、特定複合観光施設区域(以下「IR区域」という。)の整備の推進のために講ぜられる施策に係る重要事項について調査審議するために設置された会議である。推進法自体は、プログラム法であり、政府に対して1年以内に「必要となる法制上の措置」(同法5条)すなわち、「実施法案」の策定を求めるものである。政府は、実施法案を平成29年秋の臨時国会に提出することになるだろう。

 筆者は、推進会議の委員(有識者)の一人として本会議の審議に参加する機会を得た。本稿では、本取りまとめのポイントについて論点ごとに解説する。なお、本稿における意見は、私見であり推進会議全体の意見ではないものもあることに留意されたい。

 

1 本取りまとめ全体の構造

 本取りまとめは、以下の章立てとなっている。

 はじめに~「観光先進国」の実現に向けた世界初のIR法制度~

 Ⅰ. 日本型IRの全体像

 Ⅱ. IR制度の枠組み

 Ⅲ. 世界最高水準の規制①:カジノ規制

 Ⅳ. 世界最高水準の規制②:弊害防止対策

 Ⅴ. カジノ事業者に対する公租公課等

 Ⅵ. カジノ管理委員会

 Ⅶ. 刑法の賭博に関する法制との整合性

 「はじめに~「観光先進国」の実現に向けた世界初のIR法制度~」では、本取りまとめの根本原則である、公共政策としての「日本型IR」のイメージが検討されている。

 「Ⅰ. 日本型IRの全体像」においては、公共政策としての IR が目指すべき具体的な目標とIR規制とカジノ規制の関係について検討されている。

 「Ⅱ. IR制度の枠組み」においては、「IR区域等の定義」、「国の区域認定主体(主務大臣)」「区域認定の申請主体」、「区域認定手続等に関する諸論点」、「区域数の上限」、「IR 区域整備・IR 事業者の監督」について検討がされている。

 「Ⅲ. 世界最高水準の規制①:カジノ規制」においては、「厳格な免許制の構築」、「多重的かつ広範な参入規制」、「IR事業運営形態の類型の検討」、「カジノ施設・機器の規制」、「カジノ事業活動の規制」について検討されている。

 「Ⅳ. 世界最高水準の規制②:弊害防止対策」においては、「依存防止対策、青少年の健全育成」、「マネー・ローンダリング対策、暴力団員の入場禁止等」について検討されている。

 「Ⅴ. カジノ事業者に係る公租公課等」においては、「納付金」、「手数料」、「入場料」、「国・地方の配分関係等」について検討されている。

 「Ⅵ. カジノ管理委員会」においては、「カジノ規制の実効性確保の方策」、「納付金の適正な徴収」、「外国規制当局等との連携」、「カジノ管理委員会の在り方」について検討されている。

 「Ⅶ. 刑法の賭博に関する法制との整合性」においては、上記の検討を前提として、民設民営のカジノが刑法の賭博罪との関係で違法性が阻却されるか「目的の公益性」、「運営主体等の性格」、「収益の扱い」、「射幸性の程度」、「運営主体の廉潔性」、「運営主体の公的管理監督」、「運営主体の財政的健全性」、「副次的弊害の防止」の8つの観点から検討されている。

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(わたなべ・まさゆき)

渡邉雅之 (弁護士法人三宅法律事務所)

1995年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(54期)。2016年公認不正検査士。成蹊大学法科大学院非常勤講師(金融商品取引法担当)、株式会社王将フードサービス社外取締役(平成26年6月~)、日特建設株式会社社外取締役(平成28年6月~)

【弁護士会関係役職】日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員、第二東京弁護士会民事介入暴力対策委員 ほか

【主な取扱業務】金融規制法・コンプライアンス業務、プロジェクト・ファイナンス、保険法、民暴・マネロン対策、M&A業務、倒産関係業務

【関連著書】『マイナンバー制度 法的リスク対策と特定個人情報取扱規程』(日本法令、2015年3月)、『改訂版 マイナンバー制度 法的リスク対策と特定個人情報取扱規程』(日本法令、2015年9月)

 <連絡先>

 弁護士法人三宅法律事務所 東京事務所
 電話 03-5288-1021 E-mail m-watanabe@miyake.gr.jp

 




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