◆SH1324◆英米の投資信託の歴史 ~会社型と信託型の競争に関する一考察~(2)独立財産制と有限責任 友松義信(2017/08/02)

英米の投資信託の歴史

~会社型と信託型の競争に関する一考察~(2)

三菱UFJ信託銀行

友 松 義 信

2 独立財産性と有限責任

 次に、ある投資ヴィークルが集団投資スキームとして安心して投資できる対象となるには、自由譲渡性(transferablity)と財産分離(asset partitioning)が重要となるが、後者に関してはさらに、投資家の個人的債権者(当該投資とは無関係な債権者)が勝手に当該財産に権利行使できないこと(entity shielding)、および当該スキームの債権者がヴィークルを超えて投資家の個人財産に勝手に権利行使できないこと(owner shielding)が重要となる。自由譲渡性に関しては、会社、信託いずれも投信が誕生する以前から条件が整っているため、ここでは省略し、以下では、独立財産性と有限責任に必要な機能がいつ頃から会社と信託に備わっていったかについて考察を進める。

① イギリスにおける会社の有限責任

 投資ヴィークルとして安心して使うためには、投資対象が法的権利として明確なものとなっていること、および投資ヴィークルに由来する債務等は当該投資ヴィークルだけが負担することとなっていることが望ましい。出資した財産の財産分離に加えて、取締役や受託者が、自ら義務違反を犯した場合を除き、個人的責任を負うことのないようにするとともに、投資家が出資・投資金以上の責任を負わないことも重要である。即ち、法人格と有限責任の問題として議論が展開された。

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(ともまつ・よしのぶ)

三菱UFJ信託銀行経営企画部担当部長、信託博物館事務局長、コンプライアンス統括部担当部長。
1998年に東京大学法科大学院法学政治学研究科専修コース修了後、2009年まで法務、コンプライアンスを担当。2009年不動産管理部長、2011年監査役室長、2012年よりコンプライアンス統括部主席コンプライアンス・コンサルタントを経て、現在に至る。
主な著書に、『転ばぬ先のコンプライアンス』(経済法令研究会、2005年)、『信託入門』(金融財政事情研究会、2014年)などがある。