◆SH1266◆弁護士の就職と転職Q&A Q6「『海外進出支援』に向いている人材とは?」西田 章(2017/07/03)

弁護士の就職と転職Q&A

Q6「『海外進出支援』に向いている人材とは?

西田法律事務所・西田法務研究所代表

弁護士 西 田   章

 

 大手の法律事務所では、最近、新任パートナーにアジアのオフィスに駐在する弁護士が目立つようになってきました。「SH1166 司法試験受験生の就活は法律事務所と企業で何が違うのか(2)(2017/05/18)」でも、自己PRとして「インド赴任も厭わない」と伝える方法に言及しましたが、「日系企業の海外進出支援業務」は、拡大が期待される分野です。しかし、海外オフィスは成功が約束されているわけではありません。そこで、今回は、日本法弁護士としてアジアのオフィスに赴任して成功するための適性やリスク要因を取り上げてみたいと思います。

 

1 問題の所在

 日本国内のリーガルマーケットは、バブル経済の崩壊後も、外国企業による日本企業の買収等も受けて順調に拡大していましたが、2008年のリーマンショックは国内リーガルマーケットの拡大も停止させました。その後は、日本企業が、人口減少・高齢化を迎えた国内市場よりも、成長シナリオを海外展開に描くようになり、法律事務所も、それに乗り遅れないようにするために新興国進出の支援業務を強化しています。海外案件の受注においては、「プロジェクトに関連するアジア諸国のすべてに拠点を持っています!」とアピールすることがきわめて重要であるため、海外オフィスの設立は加速しました。

 現在、海外オフィスの代表に就任している若手パートナーは、ジュニア・アソシエイト時代には、インバウンドの対日投資案件で日本法プラクティスの経験を積んだ世代が中心です。「欧米のクライアントを代理して日本企業等を買収する」という業務を通じて得られたノウハウを、現在では「日本企業を代理して新興国の企業等を買収する」という業務に活かしています。これに対して、新たな世代には(インバウンド経験を十分に積むまでもなく)いきなり海外進出支援に特化したキャリアを歩むことも期待されています。そこで「日本法プラクティスを十分に経験することなく、海外進出支援に特化してもよいのか」「赴任先の海外オフィスが失敗したときにどうなるか」という悩みも生じています。

 

2 対応指針

 海外進出支援には、特定の外国に対象を絞って現地の法曹資格を得られるほどの専門的知識を獲得する方法と、対象国を絞らずに、幅広い地域の現地弁護士とも連携しながら、ビジネスコンサルタント的にアジア進出支援の窓口業務を担う方法があります。特に思い入れが深い国があるならば、前者のキャリアを志向する方法もありますが、日本企業から当該国への投資が縮小した場合にキャリアの転用に苦労することが予想されます。他方、幅広い地域への進出支援を担当する場合には、現地弁護士の選定や下請け管理に関するコミュニケーション能力が求められることになります。

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(にしだ・あきら)

✉ akira@nishida.me

1972年東京生まれ。1991年東京都立西高等学校卒業・早稲田大学法学部入学、1994年司法試験合格、1995年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程(研究者養成コース)入学、1997年同修士課程修了・司法研修所入所(第51期)。

1999年長島・大野法律事務所(現在の長島・大野・常松法律事務所)入所、2002年経済産業省(経済産業政策局産業組織課 課長補佐)へ出向、2004年日本銀行(金融市場局・決済機構局 法務主幹)へ出向。

2006年長島・大野・常松法律事務所を退所し、西田法律事務所を設立、2007年有料職業紹介事業の許可を受け、西田法務研究所を設立。現在西田法律事務所・西田法務研究所代表。

著書:『弁護士の就職と転職』(商事法務、2007)

 

 

 




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