◆SH1245◆最一小判 平成28年12月8日 各航空機運航差止等請求事件(小池裕裁判長)

【判示事項】

  1. 1 自衛隊が設置し、海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が、当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて、行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
  2. 2 自衛隊が設置し、海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が、行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例

 

【判決要旨】

  1. 1 自衛隊が設置し、海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が、当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として、自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて、①上記住民は、当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住し、当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており、その程度は軽視し難いこと、②このような被害の発生に自衛隊の使用する航空機の運航が一定程度寄与していること、③上記騒音は、当該飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであることなど判示の事情の下においては、当該飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航の内容、性質を勘案しても、行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
  2. 2 自衛隊が設置し、海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における、自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等に係る防衛大臣の権限の行使は、①上記運航等が我が国の平和と安全、国民の生命、身体、財産等の保護の観点から極めて重要な役割を果たしており、高度の公共性、公益性があること、②当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住する住民は、当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており、このような被害は軽視することができないものの、これを軽減するため、自衛隊の使用する航空機の運航については一定の自主規制が行われるとともに、住宅防音工事等に対する助成、移転補償、買入れ等に係る措置等の周辺対策事業が実施されるなど相応の対策措置が講じられていることなど判示の事情の下においては、行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえない。
    (1、2につき補足意見がある。)

 

【参照条文】

 (判示事項1、2につき)
 行政事件訴訟法3条7項、自衛隊法8条、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律4条

 (判示事項1につき)
 行政事件訴訟法37条の4第1項、2項

 (判示事項2につき)
 行政事件訴訟法37条の4第5項、自衛隊法(平成27年法律第76号による改正前のもの)3条、第6章 自衛隊の行動、自衛隊法(平成27年法律第67号による改正前のもの)107条1項、自衛隊法107条4項、5項

 

【事件番号等】

 平成27年(行ヒ)第512号、第513号 最高裁平成28年12月8日第一小法廷判決 各航空機運航差止等請求事件 一部破棄自判、一部棄却(民集70巻8号掲載予定)

 原 審:東京高判平成27年7月30日(判時2277号15頁)
 原々審:横浜地判平成26年5月21日(判時2277号38頁)

 

【判決文】

 

【解説文】

 




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