◆SH1205◆改正銀行法の成立とこれを踏まえた実務対応(5・完) 落合孝文 谷崎研一(2017/06/02)

改正銀行法の成立とこれを踏まえた実務対応(5・完)

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業

弁護士  落 合 孝 文

弁護士  谷 崎 研 一

 

四 改正銀行法の解説と実務対応(承前)

6. 施行期日

 改正銀行法は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされている(改正銀行法附則第1条)。

7. 経過措置等

(1) 電子決済等代行業者との連携・協働に係る方針の策定・公表

 銀行には、公布の日から起算して9月を経過する日までに、主務省令で定めるところにより、電子決済等代行業者との連携及び協働に係る方針を決定し、これを公表する義務が課せられる(附則第10条)。

 この「電子決済等代行業者等との連携及び協働に係る方針」の具体的内容については、今後の内閣府令を待つ必要があるものの、「公布の日」(施行日ではなく)から起算して9月を経過する日までに決定・公表することが義務付けられることになるため、十分に留意する必要がある。なお、この内閣府令案については、改正銀行法における他の内閣府令案に先立って公表されると思われる。この府令の内容及びこれがパブコメに付された後に示される金融庁の考え方を参考にしつつ、各銀行において、方針を策定する必要がある。

 かかる方針案を策定するに際して、次の点についても考慮する必要があるように思われる。

ア.基本方針について
 オープンAPIに限らず、電子決済等代行業者との間での提携・協働方針を示す必要があるものと考えられる。FinTechの観点からは、FinTech企業とのオープン・イノベーションを推進していくこととしつつ、他方で、顧客保護・セキュリティ確保を図っていくことが重要と思われる。すなわち、銀行・決済システムの安定性及び利用者保護の観点から情報セキュリティ確保、顧客情報等の適切な取扱い等にも十分に配慮しつつ、金融とIT(情報技術)を融合したFinTechの進展等の環境変化に対応していくため、電子決済等代行業者との間でオープン・イノベーション(外部との連携・協働による革新)を積極的に取り進め、利用者の利便性確保や企業の生産性向上等に資するため、顧客の視点に立ったイノベーションを推進していく姿勢を明確にすることが求められているものと思われる。

続きはこちらから

 

(おちあい・たかふみ)

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士
慶応義塾大学理工学数理科学科卒業。同大学院在籍時に旧司法試験に合格。森・濱田松本法律事務所での約9年の執務後に現事務所に参画。
FinTech協会分科会事務局長、日本ブロックチェーン協会リーガルアドバイザー、金融革新同友会「FINOVATORS」FINO-MENTORS、総務省「AIネットワーク社会推進会議」影響評価分科会委員、信託協会あっせん委員会委員等多数の政府、業界団体等の委員等を務める。
主な取扱業務は金融法務、ヘルスケア、IT、コーポレート、クロスボーダー取引、知的財産権、訴訟・仲裁ほか

 

(たにざき・けんいち)

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士・ニューヨーク州弁護士
京都大学法学部卒 米国ノースウェスタン大学ロースクール卒。
主要銀行の法務部門における執務を経てプライベートプラクティスを開始。
FinTech協会分科会事務局。
専門は、金融取引法務、金融規制法、クロスボーダー取引、一般企業法務。

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 http://www.aplaw.jp

弁護士・外国弁護士120名余りを擁する総合法律事務所である。FintechやIoT、AIなどのイノベーションにいち早く対応すべく、2015年10月以降、Innovationプラクティスグループ(旧称:Innovation Business Supportチーム)を業域横断的に構成した。そのなかで、同グループに設置されたFintechチームにおいては、個別の企業の皆様の依頼に応じているほか、一般社団法人FinTech協会の事務局を務め、Fintechベンチャー企業のサポートや金融機関・IT企業等との連携、国内外の関係機関への対応などを行っている。

 

 

〈関連リンク〉



メールで情報をお届けします
(毎週火曜日・金曜日)

サイト内検索

森・濱田松本法律事務所
長島・大野・常松法律事務所

slider_image1
slider_image2

slider_image1
slider_image2
TMI総合法律事務所