◆SH1185◆日本企業のための国際仲裁対策(第38回) 関戸 麦(2017/05/25)

日本企業のための国際仲裁対策

森・濱田松本法律事務所

弁護士(日本及びニューヨーク州)

関 戸   麦

 

第38回 国際仲裁手続の中盤における留意点(13)-秘密の保護

1. 国際仲裁における秘密保護の3つのレベル

 国際仲裁のメリットの一つとして、秘密の保護が指摘される。但し、秘密の保護といっても、一律ではなく、手続ごとに差異がありうる。

 まず留意するべきこととして、国際仲裁における秘密の保護には、3つのレベルがある。この点に関しては、「privacy」と「confidentiality」の差異を意識することが有用である。すなわち、「privacy」というのは、国際仲裁手続に参加するのは、仲裁合意の当事者、その代理人、仲裁人等に限られており、第三者には手続が公開されていないことを意味する。この「privacy」は、基本的に、すべての国際仲裁手続で確保されている。

 これに対し「confidentiality」というのは、守秘義務のことであり、仲裁手続に提出された書面、証拠、ヒアリングの速記録等を第三者に開示してはならないとの義務が当事者等に課されることである。この「confidentiality」は、後述のとおり、すべての国際仲裁手続で確保されているわけではない。

 残りの1つのレベルは、相手方当事者に対する関係である。これは、証拠開示(ディスカバリー)の場面で、相手方当事者に対する開示を拒むこと等によって、秘密を保護するものである。秘匿特権(privilege)等が、その根拠となる。

 このように、国際仲裁手続には、秘密の保護に3つのレベルがあり、これをまとめると次のとおりである。

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(せきど・むぎ)

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士。訴訟、仲裁等の紛争解決の分野において、Chambers、Legal 500等の受賞歴多数。『日本企業のための米国民事訴訟対策』(商事法務、2010年)等、国際的な紛争解決に関する執筆、講演歴多数。
1996年東京大学法学部卒業、 1998年弁護士登録(第二東京弁護士会)、森綜合法律事務所(現在森・濱田松本法律事務所)入所、2004年シカゴ大学ロースクール(LL.M)卒業、 ヒューストン市Fulbright & Jaworski法律事務所にて執務、2005年ニュ-ヨーク州弁護士登録、2007年東京地方裁判所民事訴訟の運営に関する懇談会委員、2009年日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会委員(現在副委員長)、2012年第二東京弁護士会司法制度調査会訴訟法部会部会長等。

 

 




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