◆SH1139◆『民法の内と外』(2c) 三角(多角)取引とその展望(下) 椿寿夫(2017/05/01)

連続法学エッセー『民法の内と外』(2c)

-三角(多角)取引とその展望(下)-

京都大学法学博士・民法学者

   椿   寿 夫

 

〔Ⅳ〕 検討指標の幾つか(続き)

 (オ) 債権および契約の相対性  本問で問題としている契約は、もちろん債権契約であるが、1804年のフ民1165条には非常にはっきりした象徴的な規定があった。「合意は契約当事者間でしか効力がない。合意は第三者を害さず、1121条(第三者のための契約)の場合を除き第三者を利することもない。」というのであるが、新法1199条1項も「契約は当事者間でしか債権債務を生じない。」と規定して伝統の発想を維持し、同条2項において第三者の権利を一定の場合に限定する。

 わが国では、出発時において相対効性の規制はなかったが、それが原則であると解釈し、時と共に不動産賃借権を中心にそれが修正されたのは周知のところである。問題は、修正が本問すなわち三者関係ないし三角取引とどのように関わるかであり、前掲『深化』論考22は、塾メンバーのかなりの共通認識となってきた発想に立脚した適切な見解方向を示している。ただし、“契約の第三者効”がなぜ、かつ、どのような意味において妥当しないかの具体的論証がまだ欠けていて、深化版のさらなる大型補充を必要とする。私見も予定どおり書くことにする。

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(つばき・としお)

京大法(旧制)卒、同特研生了。京大法博。大阪府大・関学大の助教授、大阪市大・筑波大・明治大・大宮法院大の教授、弁護士を経て、現在、研究と執筆に従事。椿民法研究塾を主宰。

 




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