◆SH1055◆日本企業のための国際仲裁対策(第28回) 関戸 麦(2017/03/09)

日本企業のための国際仲裁対策(第28回)

森・濱田松本法律事務所

弁護士(日本及びニューヨーク州)

関 戸   麦

 

第28回 国際仲裁手続の中盤における留意点(3)-陳述書の提出

1. 陳述書の意義及び機能

 証人には、事実関係に関する証人(fact witness)と、専門的知見に関する証人(expert witness)の2種類がある。陳述書(witness statement)は、このうち事実関係に関する証人について、その証言内容を書面にまとめたものである。

 日本の民事訴訟においても、陳述書は広く活用されている。陳述書の機能として、日本の民事訴訟に関して言われていることとしては、①主尋問代替機能と、②証拠開示機能とが主なものとしてある。陳述書は、尋問が予定されている証人について、尋問前に、当該証人を申請した当事者から提出されるというのが基本的な用いられ方であるところ、①主尋問代替機能というのは、このように陳述書が提出されることによって、網羅的な主尋問(当該証人を申請した側からの尋問)は不要となり、重要なポイントに絞った主尋問が可能になることを意味する。一方、②証拠開示機能というのは、陳述書が予め提出されることによって、相手方当事者が、証人の供述内容を予め把握できることとなり、反対尋問の準備が可能になることを意味する。

 国際仲裁における陳述書の機能と活用方法も、基本は同様である。

 もっとも、日本の民事訴訟でも見られることであるが、尋問を予定することなく陳述書が提出されることもある。尋問を行わない証人の陳述書の扱いについては、後述する。

 なお、米国の民事訴訟は、①主尋問代替機能と②証拠開示機能のために陳述書を活用するという実務ではない。主尋問は、陳述書によって短縮することなく行うというのが、米国のトライアル実務である。また、証拠開示ないし反対尋問準備のために行われるのは、デポジション(証言録取)という、ディスカバリーの手続である。

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(せきど・むぎ)

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士。訴訟、仲裁等の紛争解決の分野において、Chambers、Legal 500等の受賞歴多数。『日本企業のための米国民事訴訟対策』(商事法務、2010年)等、国際的な紛争解決に関する執筆、講演歴多数。
1996年東京大学法学部卒業、 1998年弁護士登録(第二東京弁護士会)、森綜合法律事務所(現在森・濱田松本法律事務所)入所、2004年シカゴ大学ロースクール(LL.M)卒業、 ヒューストン市Fulbright & Jaworski法律事務所にて執務、2005年ニュ-ヨーク州弁護士登録、2007年東京地方裁判所民事訴訟の運営に関する懇談会委員、2009年日本弁護士連合会民事裁判手続に関する委員会委員(現在副委員長)、2012年第二東京弁護士会司法制度調査会訴訟法部会部会長等。

 

 




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